メディアと情報化


今では当たり前になっているけど、仕事のデータのやり取り、連絡のやり取りなんてネット経由が当たり前です。母が著述業のため幼少期より常に原稿書きのイメージがあるのですが、それでもフロッピーディスクでのやり取りでしたね。手書きで書いて受け渡し、という記憶はないですね。

メディアの歴史は人間の歴史

講義でメディア論やメディアの歴史の話をします。”メディア”というのはこの場合テレビや新聞のような報道を指す言葉ではなく「媒体」、つまり情報を記録するモノという意味です。それこそ紙、紙以前の壁画に絵を書くところから、グーテンベルグの活版印刷の話、さらにはCDやHDDなどデジタル媒体へとつながっていきます。

実は、ありとあらゆるテクノロジーの中でもっとも長く確実に情報を残すメディアは紙や石とも言われています。もちろん保存方法にも最新の注意が必要ですが、デジタル媒体のものは以外にも寿命が早いのです。漫画『ワンピース』のポーネグリフなんてまさにそのイメージですよね。

話は逸れましたが、仕事のやり取りにはインターネットは欠かせません。我々のようなミュージシャンにとってもそれは同じことです。メールのやり取りもそうですが、楽曲データのやり取りも必須です。先ほども長い時間かけてギタリストとレコーディングデータのやり取りをしていましたが、インターネットがなかったと思うと、本当に想像もしがたいものですね。

情報化と”体験”

しかし、ではこの現代社会、全てのコミュニケーションがインターネットに置き換えられるのかというと、必ずしもそうではありません。みなさんも、例えばLINEなどで家族・友人・恋人と喧嘩してしまう経験もあるのではないでしょうか?この原因の一つは”体験”という感覚です。

講義ではこの”体験”という話もよくします。僕は昔から、この”体験”という感覚こそがこの情報化社会において今後必要になってくるキーワードになるのではと思っています。以前、京都コンピュータ学院のオープンキャンパスで講演した際に”情報化とサイボーグ化”の話をしたのですが、今となって思えばこれもある種、進化の過程なのかなとも思うのです。このあたり、もう少し体系的に考えられるようになりたいものです。

話は戻りますが、今でもビジネスで超重要な書類はネット経由ではなくバイク便で、さらに重要な書類はUSBメモリを手渡しで、なんて話を聞きます。ここに、今の情報化の波を乗り越えるヒントがあるような気がしてなりませんね。

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