全バンドマンに朗報?死んでも70年間は金がもらえるぞ!


音楽や小説などの著作権が、現在の死後50年までから、死後70年までに延長される方針となるようです。

小説や音楽の著作権「作者の死後70年」に延長(読売新聞) – Yahoo!ニュース

これについては前から議論がされており、最終的には環太平洋経済連携協定(TPP)の関係もあり、国際社会に合わせる形で決着がつきそうです。

著作権というのはもうすでに世界規模で文化の輸出入が起きており、統一されてないとちょっとややこしいことになってしまいますからね。

これにより、もう少しで著作権が切れそうなものも延長されることになりました。ちなみに、最近切れたものに関してはそのままなようです。最近切れたもの、というのは例えば江戸川乱歩(65年没)なんかがあります。もうすぐ切れるもの、というのは三島由紀夫(70年没)、川端康成(72年没)なんかがあります。

江戸川乱歩の作品はもう切れてしまいましたが、三島由紀夫の作品はもう20年も著作権が延長されることになります。

著作権が延びるメリット

著作権が70年へ延びるメリットはどのようなものがあるでしょう。

単純に考えると、作家にとってはありがたいことなのかもしれません。作家といってももう死んでいる話なのですが、その著作権料は家族に対して支払われることになります。

なんの社会的補償もない作家にとっては、死後70年間もお金が入るのであれば、それこそ生前に好き勝手やって多くの迷惑をかけた家族に対してその分のお金を残すことができるようになります。

とはいえ、正直なところ自分が死んで50年後、70年後という遠い未来にカラオケで摩天楼オペラの楽曲がどれだけ歌われるのか、もちろん歌ってもらえるような存在にはなってほしいものですが、そんな先の未来で20年延びたところでどれだけの収入差が生まれるのか、正直疑問なところではあります。

なので、ほとんどの作家にとっては、収入面について大きな差はないように思われる、というのも率直な感想でもあります。

著作権が伸びるデメリット

では、著作権が70年となることでどのようなデメリットがあるでしょう。

日本はアニメやゲームなど、コンテンツ大国と言われています。しかしながら、本当のコンテンツ大国は圧倒的にアメリカです。ミッキーマウスの著作権が切れそうなタイミングになると著作権が延期する、なんていわれてるくらいです。

実は、日本はコンテンツの国際収支ではその莫大な利用料を払うため、年間5800億円の赤字が出ているという話があります。著作権が70年に延びるというのは、コンテンツ大国のアメリカにとっては非常に有利な話となっているのです。(※そんなアメリカはTPP離脱しちゃってるけど)

このコンテンツ赤字の増大がデメリットの一つではありますね。

また、著作権が死後70年となるわけですが、みんながみんな末代まで家族がいるわけでもないですし、いたとしても関係が途切れてしまうかもしれません。

もうそんな昔のことはわからないよ…と、その著作権がどこにあるのかわからないような状況が続いてしまうことになります。

死蔵作品、なんて言い方をしますが、こういった死蔵作品の増加もまたデメリットの一つです。

青空文庫のように、著作権の切れた昔の著作物をそのまま再利用して社会へ提供したりも、20年間できなくなってしまいます。また、作品の二次使用も20年間できなくなってしまいます。シャーロックホームズの話など漫画でよくでてきますが、これらも著作権が切れているのです。こういったこともできなくなるわけです。

今後の著作権はどうなる?

著作権は意外と歴史が古く、1710年にイギリスで法令化されたと言われています。最初は死後何年とかではなく、すでに出版されている本は今から21年間、これから印刷される本は今から最大で28年間の著作権があたえられ、それが過ぎるとパブリックドメイン、ようするに公共のものとなりますよ、という内容でした。

1842年に法律が変わり、「著作者の死後7年まで、もしくは公表時から42年のうち長い方」という保護のされ方になります。このときは死後7年、今は死後70年、ずいぶん長くなりました。

今後はどうなるでしょう?

この流れですと、もしかしたら70年も、今後は100年、150年と延期されていくようなものになっていくかもしれません。

個人的には、さすがに死後100年とかはやりすぎかなとは思いますけどね。今回の70年については、国際社会に標準を合わせるという意味ではやむを得ない対応かなとも思います。