ペットを蘇らせるのに一千万円、安い?高い?


科学技術の発達というのは、すさまじいものです。もはや神の領域にまで近づいているといっても過言ではないでしょう。いや、きっと今の人間ができることを昔の人が見たら、それは神の領域ではなく”神”そのものといってもおかしくないかもしれません。

死んだペットを蘇らせる

このブログでもクローン技術について取り上げました。

クローン猿ができるんだから、クローン人間もできちゃいそう

クローン技術というのは、すでに実用可能です。以前のブログでも言及していますが、クローンでペットを作ることは可能です。

韓国では2008年よりクローン技術を使って犬を複製することをビジネス化するところまで行っているそうです。韓国内だけでなく、世界中からオファーが来るとのことです。その金額は10万ドル、1000万円以上になります。

この金額が高いとみるか安いと見るか、これは人によるでしょう。一般人には出せない金額ですが、亡くなった紀州のドンファンのようにお金持ちの愛犬家なら、余裕で出せる金額ですね。

こちらについては、この記事に詳しく出ています。

死んだペットが10万ドルでよみがえる(文字どおり) クローン犬誕生の現場に立ち会った【動画あり】:朝日新聞GLOBE+

複製されたペットは、そのペットなのか

複製されたペットは、それまで飼っていたペットと同じなのでしょうか。これは難しい問題です。

DNAに関しては同じです。顔も同じです。おそらく鳴き声も同じでしょう。毛並みは極めて似ているでしょうが、毛並みはストレスや食生活にも影響されるので、完全に一致するかというとそうではないかもしれません。体格も同様で環境や食生活にもよるところがあり、完全一致ではないでしょうが、大人になったときの大きさはほぼ一緒であるでしょうね。

もっとも、年齢が違います。複製を作ると、当たり前ですが赤ちゃんの状態です。そういうこともあり、比較対象として見るのは思い出補正も入るので、多少の差異は気にならないかもしれません。

ですが、ペットも生き物です。DNAは同じでも、同じではありません。大人になったとき、癖や仕草など、やっぱり違うと思うんですよね。なので、同じ存在だと認識すると逆にその微妙な差異が気になってしまうこともあるかもしれません。

いくら金銭的、技術的に複製できたとしても、すべての愛犬家が死んでしまったペットを複製するかというと、しないでしょうね。

生き物でなくても、例えば楽器や自動車も、同じ工場で同じ設計図で作られたとしても微妙に違いがありますからね。まぁそんなものです。

命をつなぐジレンマ

愛する存在を失ったら、誰もが生き返らせたいと思うものです。ペットでも子供でもそうです。鉄腕アトムも、死んでしまった子供を、というところからアトムが誕生しました。

人間のクローンに関しては慎重に議論を重ねなくてはなりません。自分自身も、人間のクローンを作っていいのか、ダメなのか、ちゃんと答えられるほどまだ精神が成熟していないのでわかりません。ただ、ペットについては、こういった技術とビジネスがあること自体は否定したくないなとは思っています。

ペットというのは、寿命で考えると人間よりも先に死にます。ペットを飼っている人は、ほぼ確実にそのペットの死に目に会うわけです。とても悲しいことです。ではペットの複製がいればペットが死んだときに悲しくないか、というとそういうことではないですからね。クローン技術が、そのコピーを作ることを可能にしても、それが永遠の命を作るということとは意味が違います。これがまさに、命をつなぐジレンマです。

こういったクローン技術を使ったビジネスが日本で一般的に広まるかというと、そうはならないかもしれません。こういう技術を肯定するか否定するかではなく、こういった技術から命のあり方をもう一度それぞれが考えるきっかけになるのかなと思います。