こんにちは。先日、日本の縦読み漫画(Webtoon)の黎明期を牽引してきた大手の電子書籍・漫画アプリである「comico(コミコ)」が、来年(2027年)1月をもってサービスを終了するという大きなニュースがありました。
これだけ歴史があり、大手が運営している電子書籍サービスであっても、いつかはサービス終了の日を迎えることがあるという現実を改めて突きつけられました。そこで今回は、このニュースから考える「電子書籍を買うということの本質」についてお話ししたいと思います。
電子書籍は「所有」ではなく「無限レンタル」である
電子書籍のサービスが終了するたびに必ず話題になるのが、「今までお金を払って買った漫画はどうなるのか?」という問題です。
紙の物理的な本であれば、出版社が倒産しようが本屋が潰れようが、自分の手元に本がある限り10年後でも100年後でも読むことができます。それが「所有する」ということです。
しかし、電子書籍において僕たちがお金を払って買っているのは、作品そのもののデータではなく、「そのサービスのアカウントを通じて、その作品を読む権利(アクセス権)」に過ぎません。極端に言えば、「サービスが存続している間だけ借り続けられる『無限レンタル』」のような状態なのです。
「サービスが終わるなら、買った漫画のデータをPDFでダウンロードさせてくれ」という声も出ますが、それは現実的に不可能です。もし海賊版としてネット上にバラ撒かれたら、出版社や作者の権利と利益が完全に守れなくなってしまうからです。デジタルデータである以上、コピーや拡散を防ぐための仕組み(DRM保護など)が必須であり、ユーザーの閲覧をサービス内に縛り付けるのはビジネスとして避けられない構造なのです。
他社への「引き継ぎ」という新しい救済モデル
ただし今回のcomicoの終了において特筆すべき素晴らしい対応がありました。それは、ユーザーが購入した作品の一部を、外部の競合サービスである「めちゃコミック」に引き継げる(本棚移行できる)という救済措置が発表されたことです。
自社のサービスが閉鎖する際に、ユーザーの購入資産を他社に丸ごと引き継ぐというのは非常に画期的な事例です。
ユーザーとしては今まで買った漫画がゼロにならずに引き続き読めるので安心ですし、受け入れる側の「めちゃコミック」としても、大量のアクティブな漫画好きユーザーを一度に獲得できるという大きなメリットがあります。comico側もユーザーへの義理と責任を果たすことができます。
今後、長く続いた電子書籍サービスが終了を迎えるケースは増えてくるはずです。その際、今回のように同業他社へスムーズに「本棚を移行する」というエコシステムが定着していけば、ユーザーの電子書籍に対する不安は大きく軽減されるでしょう。
電子書籍の利便性は間違いなく素晴らしいですが、同じお金を払うのであれば「物理的な所有」を選ぶのか、それとも「利便性を取った無限レンタル」を選ぶのか。今回のcomicoのニュースは、デジタル時代のコンテンツの買い方について改めて考える良いきっかけになったと思います。