その1ではミャンマーって何?っていう基本的な話から。
その2では20世紀のミャンマーの歴史を簡単に振り返りました。
その3では、今何がおきているのか、ということについてです。
民主化への道
アウンサンスーチー氏は、軟禁され、それが解除され、また軟禁されを繰り返します。
民主化への動きも見せるも、軍は事実上権力を掌握しながら、都合の悪い人をどんどん軟禁していくという感じです。民主化したいけど、軍の力が強い。そんなバランスの状態が続きます。
2010年代になると、民主化への期待はさらに高まる中、アウンサンスーチー氏も政治活動を再開し、力を強めていきます。
2015年の選挙では民主化勢力が大勝し、一気に民主化ムードが高まります。
しかしアウンサンスーチー氏はミャンマーの大統領になることができません。
実はミャンマーの憲法に、配偶者や子供が外国籍だった場合、大統領になれないと書いてあるんですよね。この憲法、夫と子供が外国籍のアウンサンスーチー氏をターゲットにした憲法という話もあるそうです。
そのため、アウンサンスーチー氏ではない人を大統領にしつつ、アウンサンスーチー氏が実質的に権力を握る形で新政権がスタートします。
しかし残念ながら、ミャンマーはそれでも軍の力が非常に強いのです。
そもそも、議員の25%が軍人であるという規定もあります。これでは民主化は遠いですね。憲法変えないとどうにもなりません。
民主化したいという人は多いものの、軍の力が強い。この捻じれた状態が、現在のミャンマーに起きている問題に直結します。
クーデターの歴史とこれから
そこで、ようやく今の話になります。
昨年、ミャンマーでまた選挙がありました。もちろん、民主化勢力が勝利しています。
しかしこの選挙に、軍が異を唱えます。
選挙に不正があった!ということです。あれ、どこかで聞いた話ですけども。
今年の2月にミャンマー軍は再びクーデターを起こします。大統領やアウンサンスーチー氏、その他重要人物を次々と拘束し、非常事態宣言を発令。これであっという間に軍事政権に逆戻りです。
これに対し、ミャンマー国内では民主化運動がさらに激化しています。死者もでるなど、世界中から非難も集まっています。もうすでにデモにより600人に近い死者がでていると報道にあります。
また、民主化デモに参加しているモデルや歌手などの芸能人も次々に逮捕、指名手配されるなど、締め付けを厳しくしています。
アウンサンスーチー氏は国家機密法違反で追訴されており、有罪になればもう表舞台にはしばらくでることができなくなります。75歳ということもあり、裁判が長引き10年以上の禁固刑がつけば、事実上政治活動を続けることはできないでしょう。
ミャンマーは父アウンサン将軍と娘アウンサンスーチー氏の戦いの歴史でもあります。ミャンマーがイギリスからの独立運動への機運が高まったころから、100年ほど。ミャンマーの苦難の道はまだ続きます。
どう解決すべきか
今でも、国内外でデモ活動は続いています。日本をはじめ国際社会は、どのように対応するべきなのか。やりすぎては内政干渉になってしまいますので、どの国も注意深く様子を見守ることくらいしかできないでしょう。いきなり多国籍軍をミャンマーに送って、民主化させます!みたいなことも、今の時代感ではやりにくいでしょうからね。
とはいえ、民主主義の考え方は人間が長い時間を経てようやくたどり着いた、境地のようなものでもあります。もちろん、民主主義だけが完璧なシステムとは言い切りませんけども。
民主主義の恩恵を受け生活している自分たちにとっては、民主化をすることを訴えている人が弾圧されている状況は、とても残念なことです。
うまい形で民主化が成されればいいのですが、現状はあまりいい状況ではありません。
しかし大事なことは、世界中がこういったミャンマーの歴史や、ミャンマーで起きていることを知ることかなと思います。まずはそれを知ることで、どうしたらいいのだろうと考え始めることができます。
そう思い、今回は3回に分けてミャンマー特集を行いました。
あまり有名じゃない国かもしれませんが、日本ともつながりのある国です。どうにか無事いい方向へ進んでくれるといいのですが。