SHOXX廃刊!?情報を残すということとは。


みなさんご存知の通り、彩雨=デジタル人間です。音楽ですら最近はもらいもの以外はCDはほぼ持ちません。CDを買っても、結局データに取り込み、そのデータで聞きます。時事ネタが好きなものでニュースは好きですが、新聞は読みません。雑誌も滅多に読まなくなってしまいました。

Twitterにも書きましたが、昨日はキングレコードのスタジオでマスタリングがありまして、その本棚に昭和61年発行の「メタルインディーズマニア」という雑誌がありました。(さっき検索したらオークションですごい金額になっててびっくり 笑)
なかなか面白くて楽しく読ませていただいたのですが、こうして30年経ってからも自分が手にしてそこから情報を得られるというのはすごいなと思います。まぁ、当たり前の話ではあるんですけどね。

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これは情報の質の問題でもあります。自分が考えるに、情報には種類があります。

小説のように後世まで残されていく固定的な情報

小説だったり音楽だったりもそうなんですけど、いつまでも同じ情報がいつまでも残るタイプのものです。

ニュースのように最新情報が更新されていく流動的な情報

先日、摩天楼オペラの10月19日発売の新作『PHOENIX RIGING』のインストア情報がホームページで発表されました。これが流動的な情報かと思います。最新情報が前に来て、古い情報がどんどん奥へ行く感じですね。雑誌や新聞はわりとこの流動的な情報を載せることが多いです。

しかし、インターネットはこの流動的な情報を扱うのに長けています。情報はいつでも更新できますし、だれでも簡単にその情報へアクセスできます。そういう意味では、たしかにこの流動的な情報を扱う雑誌はだんだんなくなってきている実感がありますね。これは音楽業界に限る話でもないのかなと思います。

目先の利便性だけを考えるとインターネットはとても便利なのですが、過去情報の参照という意味ではちょっと難しいところもあります。例えば、摩天楼オペラの1stフルアルバム『ANOMIE』のときのインストア情報一覧をパッと探せるか、ということです。まぁファンの方がアメブロとかで書いてあるのが検索されるかもしれませんが、オフィシャルの情報としてインターネット上に残っているかどうか不明です。

流動的を体系的に変えるイノベーションの大切さ

ぶっちゃけ、そんな昔の情報なんていらないでしょ、と言われたらそこまでです。たしかにそうです。ただ、そういう細かいバラバラな情報も、後々はそれを繋いで新しいことを考える人がでてくるかもしれません。実際に30年前の「メタルインディーズマニア」ですが、当時の最新情報がまとめられていました。DEAD ENDさんのようなシーンの最先端にいるバンドから、これから活動を予定しているミュージシャンの情報まで載っていましたし、当時のライブハウス事情やレコーディング事情のことも細かく紹介されていました。バンドのファンも、これからバンドをやろうとする人でも楽しめるような内容でした。もちろんこれらは30年前の流動的な情報の一つです。ですが、30年後にはこの情報の質が変わり、当時の文化を示す貴重な固定的な情報、資料となるのです。

音楽誌「SHOXX」などを出版していた音楽専科社が自己破産申請の準備に入った。出版不況の影響で、財務面が…

情報源: SHOXX 音楽専科社が破産へ(2016年9月20日(火)掲載) – Yahoo!ニュース

SHOXXは1990年に創刊され、ヴィジュアル系シーンを積み上げていく上でとても重要な一角を担った存在でした。その時その時のシーンを代表するバンドがたくさん掲載されています。当時の作品に対する貴重なインタビューがたくさんあります。これはもちろんCDリリースの宣伝が目的であり、ライブ情報なども含めて流動的な情報です。しかし、そのSHOXXを順番に見ていくと、写真だけでもヴィジュアル系の歴史や流れを感じることができます。以前、衣装さんの家に昔の雑誌があったので読ませてもらったことがあるのですが、ぜひヴィジュアル系に興味を持っている若者がSHOXXを全部読める図書館のようなところがありそこで手にできたらいいのになと思います。

あくまで一つ一つは流動的な情報で、現在は意味をなさないものかもしれません。しかし通して情報を得ることでそれが”体系化”していきます。何かと何かのつながりを感じ、それが未来へとつながっていくような感覚を得られるのです。実はそこにこそ、シーンのイノベーションがあるように思えます。情報がどんどん更新されていくインターネットで、この情報の体系化が同じようになされるのか、そこを見極めたいところですね。

まぁ冒頭でも言っている通り、雑誌を読まなくなってしまった自分がいうのもおこがましいわけですが…。雑誌の未来、これから先どうなるのでしょうか。

そして実は明後日にSHOXXの取材の予定だったのですが、どうなるのでしょうか…。倒産は本当に残念なニュースでした。これまで何度も載せていただき、この場を借りてお礼申し上げます。