AIと共創する未来、読書感想文のこれから


これはXスペースの文字起こしをブログ化したものです。

今日は、AIの発展がもたらす課題と可能性について、いくつかのトピックを通して考えてみたいと思います。

読書感想文コンクールとAIの不適切利用

最近、小学生から高校生までを対象とした読書感想文の全国コンクールで、AIが生成した文章を不適切に引用した応募作品が10以上あり、審査対象外になったそうです。AIの悪用を防ぐため、主催側は応募要項に盗作や不適切な引用があった場合の措置を明記しています。AIを活用することで教育的な効果も期待できますが、自分の言葉で書くという読書感想文の本質を守ることが重要だと考えられています。

しかし、AIの技術は日進月歩で進化しており、小学生が書いたのかAIが書いたのか見分けることは難しくなっています。読書感想文の在り方自体を見直す必要があるのかもしれません。例えば、感想文を書くのではなく、実際に本を読んだ上で、みんなの前で感想を発表するような方式に変えるなど、AIには真似できない方法を取り入れるのも一案かもしれません。

AIを活用した新しい本作りの構想

一方で、私はAIの力を積極的に活用した新しい本作りを構想しています。以前出版した「音楽とテクノロジー」の本から3年が経ち、その間にAIの技術は大きく進歩しました。そこで、次の本では、まず目次を作り、各章の内容をボイスで話します。その音声を文字起こしし、それをAIに渡して文章にまとめてもらうという方法を考えています。

確かに、AIが文章を作れば、著者の関与が薄いように思われるかもしれません。しかし、本のテーマ設定や構成、内容の決定など、本質的な部分は著者の仕事です。AIはあくまでも著者の思想を言語化する助手であり、出来上がった本は紛れもなく著者のものだと私は考えています。

AIの活用と著者性の問題

AIが作った絵を売ることに抵抗を感じる人はいないでしょう。なぜなら、そこにはプロンプトを工夫し、AIを駆使して表現を追求する作家の姿があるからです。文章であっても、著者がAIをどう活用するかによって、作品の個性は大きく変わってきます。音楽制作の現場では、私はこの考え方を「プロデュース感」と呼んでいます。

AIの発展によって、創作のプロセスは大きく変化しつつあります。でも、だからこそ、作品に著者の個性を宿らせる努力が一層重要になるのだと思います。AIを単なる道具ではなく、創作パートナーとして活用し、新しい表現に挑戦する。そんな作家魂が、AIの時代を生き抜く鍵になるのではないでしょうか。

AIの発展は、読書感想文という伝統的な教育の場にも、創作の現場にも、大きな影響を及ぼし始めています。AIを脅威ととらえるのではなく、どう活用し、どう付き合っていくか。そんな知恵が、これからの時代には必要とされているのだと感じます。私自身も、AIと向き合いながら、新しい本作りに挑戦していきたいと思います。