これはスタエフの配信をブログ化したものです。
音楽配信の形態が多様化する中、任天堂とSpotifyが新たなサービスを開始しました。それぞれが独自の視点で音楽体験の提供を目指す両者の取り組みから、デジタル時代の音楽配信の未来が見えてきます。
Nintendo Musicが切り開く新しいゲーム音楽体験
任天堂は、Nintendo Switch Onlineの加入者向けに、ゲーム音楽配信サービス「Nintendo Music」を開始しました。このサービスの特徴は、単なる音楽配信にとどまらない、ゲーム音楽ならではの独自機能にあります。ユーザーはゲームのネタバレを防ぐ機能や、ゲーム中のBGMのように楽曲を15分、30分、60分とループ再生できる機能を利用できます。従来のサブスクリプションサービスでは実現できなかった、ゲーム音楽に特化した音楽体験を提供することで、ファンのニーズに応えています。
Spotifyが挑むミュージックビデオ配信の可能性
Spotifyは、プレミアムユーザーを対象に、日本を含む85カ国でミュージックビデオのベータ版配信を開始しました。モバイル、デスクトップ、テレビなど、様々なデバイスでの視聴に対応し、新着ミュージックビデオの通知機能なども備えています。しかし、YouTubeですでに多くのミュージックビデオが無料で視聴できる現状を考えると、このサービスの差別化には課題が残ります。むしろ、ライブ映像のアーカイブ化など、新たな価値提供の可能性を探る必要があるかもしれません。
音楽体験を設計する時代へ
今回の両社の取り組みは、単なる音楽配信から一歩進んだ「音楽体験の設計」という新しい方向性を示しています。任天堂のように、コンテンツの特性に合わせた独自の再生機能を提供したり、Spotifyのように映像との融合を模索したりと、各社が独自の形で音楽の楽しみ方を提案しています。これからのミュージシャンには、楽曲制作だけでなく、その音楽をどのように届け、どのように楽しんでもらうかという、音楽体験全体のデザインが求められる時代になってきているのかもしれません。