子どもはロボットに「心」があると感じている


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。


5歳児がAIロボットを「心のある存在」と認識する実験

東京大学などの研究チームは、5歳の子どもたちに対してある興味深い実験を行いました。それは、「人工知能(AI)を搭載し、身振りや表情を使って柔軟なやり取りができるロボット」と交流させた際、子どもたちがどのような行動を示すかを観察するというものです。

その結果、子どもたちはロボットの前で「いい子」の態度を取り、他者のために行動する傾向が見られました。これはまるで、誰かに見られているときの人の心理と同じです。つまり、「見られている=自分をよく見せたい」という本能的な反応が、ロボットに対しても働いているのです。

さらに注目すべき点は、子どもたちがこのロボットに対して「幸せ」「悲しみ」を感じているように振る舞ったことです。つまり、彼らはこのAIロボットを単なる機械ではなく、「意識がある存在」として認識している可能性があります。

この研究は今後の幼児教育に活用される学習支援ロボットの開発にもつながると期待されており、AIと子どもたちの関係性について新たな視点を提供しています。


大人はロボットを「下」と見る? 社会問題への予兆

一方、同じ実験において大人はどのロボットに対しても「心がある」と感じることはなかったそうです。これは当然といえば当然で、多くの大人にとってロボットはあくまで「道具」であり、感情を持たない存在です。

しかし、ここにはある種の危険な構図が隠れています。人は「相手が自分より下」と判断した瞬間、横柄な態度を取ることがあります。例えば、過去には若い店員や女性に対する高圧的な接客態度が問題になりましたが、それと同じようなことが、将来ロボットに対しても起きるかもしれません。

たとえば、見た目は人間そっくりなのに実はAIロボットだった——そんな場面で、人間である顧客が失礼な態度を取るようになるのは、そう遠い未来の話ではないでしょう。これは技術の進化とともに浮上する「倫理的課題」であり、近い将来、社会的に議論が必要になるテーマとなるでしょう。


AIネイティブ世代の到来と未来社会の変容

では、なぜ5歳の子どもたちはロボットに心を見出すのでしょうか。それは、彼らが「AIネイティブ世代」だからです。生まれたときからAIやロボットが当たり前に存在しており、それが特別でもない世界で育っているのです。

これからの時代、人間とAIの区別が曖昧になっていくのは避けられない流れです。すでにチャットAIとの会話も自然になりつつあり、LINEのような日常会話の中で「相手が人間かどうか」を見抜くことさえ難しくなってきています。

そして将来的には、見た目も動作も人間と区別のつかない「アンドロイド」が登場するかもしれません。そうなれば、「こいつはAIだ」と言われても「え?そうなの?」と驚くのが関の山。人間とAIの境界線はどんどん薄れていき、AIが差別の対象になることも、あるいは人間のように扱われる存在になることも考えられます。

これは、私たちが生きている間に大きな変化として目の当たりにする未来です。2025年には「へー面白いね」と思える話も、2125年にはごく当たり前のことになっているかもしれません。技術の進歩と共に、価値観や社会構造も大きく変わっていくでしょう。