これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。
さて、今日は「AIによる新しい民主主義の形」という、なんとも壮大なテーマの記事を見つけたので、その話をしようかなと。
僕がいつも授業で話していることなんですが、AIとブロックチェーンという2つのテクノロジーは、21世紀の社会を根底から変える力を持っています。その変化は、僕らが「当たり前」だと思っている「資本主義」や「民主主義」という社会システムそのものを、変えてしまうかもしれないんです。
そもそも「民主主義」って、完成形なの?
僕らは生まれた時から資本主義と民主主義の社会で生きているから、これが人類のたどり着いた「完成形」だと思いがちですよね。でも、ちょっと待ってください。
人類の1万年以上の歴史の中で、民主主義や資本主義が主流になったのって、せいぜいここ数百年。フランス革命や産業革命以降の話です。歴史全体から見たら、ほんの瞬きみたいな期間でしかない。これが「最終ゴール」なわけがないんです。社会の形は、テクノロジーの進化と共に、これからもどんどん変わっていくはずです。
歴史を振り返れば、大きなテクノロジーの進化は、必ず社会の仕組みを変えてきました。産業革命が起きて、新しい働き方や富の形が生まれ、その結果として資本主義や民主主義が広がっていったように。
それと同じことが、今、AIによって起ころうとしている。僕はそう考えています。これは100年単位の大きな話ですが、すごくワクワクするテーマだと思いませんか?
AIの本当の価値は「忖度しない」ことにある
じゃあ、具体的にAIが民主主義をどう変えるのか。
僕が読んだ記事には、「AIが政策に関するデータを分かりやすく提供してくれたり、ネット上の多様な意見を効率的に集約・分析してくれたりする」といったことが書かれていました。
まあ、それも確かにあるでしょう。でも、僕が思うAIの本当の価値は、もっと別のところにあります。それは、AIの最大の武器が「忖度しない」ことにある、という点です。
人間の社会って、良くも悪くも「忖度」で動いている部分がたくさんありますよね。政治の世界なんて、まさにその典型でしょう。本当はみんな心の中で「A案の方が絶対に良い」と思っていても、力のある誰かさんの顔色をうかがって、口では「いや、ここはB案でいきましょう」なんて言ってしまう。会社や学校の会議でも、似たようなことってありませんか?
そんな時に、AIがフラットな立場で「過去のデータとシミュレーションの結果、A案が最も効果的である確率は95%です」なんて、忖度ゼロの意見を出してくれたらどうでしょう。
すると、今まで忖度していた人たちも、「いやー、個人的にはB案がいいと思うんだけどねぇ。でも、AI君がここまで言うなら、今回はA案で試してみるか…」なんていう「言い訳」ができるようになります。
AIを、人間関係のしがらみから解放されるための「便利な逃げ道」として使う。その結果、みんなが本心で良いと思っていた方向に物事が進んでいく。これこそが、AIがもたらす「新しい民主主義の形」なんじゃないかなと、僕は思うんです。
意見をまとめる便利なツールとしてだけでなく、意思決定のプロセスそのものに「忖度しない」という新しい視点をもたらすこと。そこに、AIが社会をより良く変えていく、大きな可能性が眠っている気がしてなりません。