QUESTIONより
肉や酒など熟成させるものが色々ありますが食品や音楽に限らず彩雨さん的熟成させたいものは何ですか?
たしかに肉や酒は熟成させると美味しくなります。
これって不思議ですよね。肉なんて保存の仕方によっては時間が経つとダメになってしまいますしね。
時間が経てばダメになるものもあれば、時間が経つことによってよくなるものもあります。だからといって経ちすぎてもダメだったりすることもあります。
こういうのって他にもいくつかありそうです。例えばジーンズや革ジャンとかもそうです。長く着用することで味わいが増します。
人間関係とかも、意外とそういうところあるかもしれません。その昔、人間関係の悪化で解散したバンドも、ある程度年を重ねて再結成したら関係性もちょっと変わったりするとかね。
音楽と熟成
これにあてはまるのかあてはまらないのか、なんとも言えないところなのが音楽です。
例えば今、曲を作ったとして、「これを10年間パソコンに保存しておけばいい音楽になるはずだ」なんて普通思いませんよね。
特に、僕らのような商業音楽はどうしても流行などもどこかに追うわけで、10年前の曲はやはり10年前の曲なんです。それがいいとか悪いとかではなく。
ただ、10年前に眠らせた曲を、今ちょっと作り直したらいいものになった、ということはあるでしょうね。
ただ同じ音楽でも、作曲の感性とか、プレイヤーとしてならそういう熟成ってありますよね。週末から始まるFC限定ライブではそれこそ10年前の曲も演奏しますけど、じゃあ10年前と同じかというと違うはずです。そして10年後にやってもまた変わるでしょう。そのあたりでは音楽の熟成というのもきっとありますね。
ヴィジュアル系と熟成
男は二十歳過ぎてから、男は三十歳過ぎてから、男は初老になってから…と、世代を追うごとに熟成されるリミット期限が都合よく上がっていきます。
でもこういうのって間違ってないのかなと思います。
ヴィジュアル系バンドですので、実際に言われたことのある言葉ですが、「若い時にしかできない」と思う方も多いのだろうと思います。
ですが、それは違います。というのも、10代には10代なりのヴィジュアル系が、30代には30代なりのヴィジュアル系が、50代には50代なりのヴィジュアル系があるからです。
ただいかんせん、ヴィジュアル系という歴史といいますか、根本的にロックバンドとしての歴史といいますか、そもそも音楽業界の歴史自体が致命的に浅いわけでして、誰もがこの先どうなるかイメージしにくいということがあります。だからこそやってて面白いんですけど、それであるがゆえに、他人にはとにかく説明しにくいというところもあります。
熟成させたいものは何かという話でしたが、やはり自分自身を熟成させたいですね。それは決して年を取るということではなくて。熟成させるような時間の過ごし方をしたいなと思います。