QUESTIONより:次の時代のヒーロー像、ヒロイン像を考える


QUESTIONより

時代とともにドラマやアニメ、漫画のヒーロー像、ヒロイン像が変遷していると思いますが、どのように変遷していると思いますか?また、彩雨さんが考えるこれからの時代のヒーローヒロイン像があれば教えてください!


たしかに、時代とともにヒーロー像、ヒロイン像は変化するでしょうね。

その変遷を辿るのも面白そうですが、最近のヒーロー物、ヒロイン物の作品をあまり知らないもので、あまり語れないです。

お姫様を救うのは時代遅れ

やはり昭和のイメージですと、ヒーローがヒロインを救い出す、という絶対的なテーマがあるように思えます。真っ先にスーパーマリオを思い浮かべましたが。

逆に女性が男性を救い出す話は少ないですよね。

それと、パートナーとなる上でも、女性が男性を選ぶよりかは、男性が女性を選ぶ話のほうが多いです。

シンデレラなどもそうですし。

冷静に考えると、現代のジェンダー論にはそぐわないストーリーが多いです。

そういう意味で、ドラクエとか主人公の性別を選べ、かなり画期的なシステムでしたね。

王子様はいらない

情報が古くて恐縮ですが、例えばアナ雪とか、明確な”王子様”にあたる人は存在しません。

いや、王子様は出てくるんですけど、あいつ悪いやつでしたからね(ネタバレごめんなさい)

でも個人的にはアナと王子様のデュエット曲は好きです。

アナ雪にはヒーローであるクリストフの存在がありますが、昭和の時代にイメージする”王子様”の男子とはイメージが異なります。

ある意味、こういったところも時代感なのかなとも。アナ雪が昭和の作品だったら、中身が違ったかもしれません。

同様にスターウォーズもそうです。以前の作品は、ヒーローとお姫様という概念が存在していました。一方で、新しい作品はそこが緩和されています。

ジェンダー論、LGBTQのこともありますし、人種なども含め、配慮しなければならない点が増えています。

大型大衆作品であればあるほどこういったところは重視されますので、明確なヒーロー、ヒロインという概念は減らしていく傾向にあるのかなと思います。もはや守ってくれる白馬の王子様は必要ないのかもしれません。

最後は万能型のヒーローへ回帰

海外の作品は、圧倒的な主人公が軸となって進む話が多い印象があります。

一方で日本は主人公が爆発的に強く引っ張っていく作品もありながら、主人公を取り巻く魅力的なキャラクターが全体を引っ張っていく話も多いです。

このあたりは宗教観の違いもあるかなと思います。

現在のように多くのものへ配慮する必要がある作品を作る場合、主人公だけにスポットを当てるより、全体にスポットを当てながら構成していく作品の方が都合は良さそうです。

しかしこれはあくまで今だけの話で、最終的にはやはり圧倒的な力を持つ万能型のヒーロー物へ回帰するのではないかと思います。

やはりユダヤ教時代から続く救世主論は根強いですからね。全知全能の神の啓示を受けた人が、その代弁者(預言者)となって世界を救っていく話の方に、強い説得力を感じます。

今はなにかと世界が平和だから、救世主が求められていないのかもしれません。何かが起きて世界が争いの絶えない混沌としたよくない状態になったら、やはりそういったヒーロー像が求められていくのかなと思います。