近年、日本に対して、環境問題への取り組みについて世界から批判されています。
ヨーロッパを中心に環境問題への取り組み方はトレンドで、現在は飛行機ではなく鉄道で旅行するのが流行しているようです。
なぜ日本はバッシングされるのか
飛行機はダメで、鉄道はいいのか。こういった近年のヨーロッパの社会運動は何事も極端な傾向があるので、個人的には正直あまり好きではないところもあります。
とはいえ、こういった環境問題に対して関心を持つ人が増えること自体はいいなと思っています。
最近注目されているのは、クリーンエネルギーというよりも、低炭素という考え方です。
日本は二酸化炭素の排出量は世界の中でも多い方ですが、それでも世界一とかではありません。どうして日本ばかりこんな批判されてしまうのか。
これは、利用するエネルギーに対して、炭素の排出量の割合が世界の中でも高いから、ということです。
炭素というのは具体的には火力発電で化石燃料を使う、ということです。今は世界中が火力発電を他の形へ切り替えを進めている中、日本はいまだに新たな石炭の火力発電を作ろうとしています。
これは世界の中では稀であり、バッシング対象となっても仕方のないことです。資源の少ない日本は、戦後より原子力発電への依存を深めるようなかじ取りをしていました。今でも原発事故がなければ、次々と新たな原発も登場して、日本はもしかしたらそこまで化石燃料を使う割合は高くなかったかもしれません。
まだ事故から10年もたっておらず、この数十年の流れを簡単に切り替えることもできません。日本は野党ですら石炭を燃やせと選挙で訴えているくらいですからね。原発に依存するべきか、現在のように世界のバッシングはスルーして化石燃料を使うか、別の道をすぐに確立できない中、その二択の中で苦境を乗り越えていくしかないというのが実情ではないでしょうか。
低炭素な社会を目指して
たとえば自動車ではなく電車を使おう、という話になったとしたところで、その電力は石炭を使って発電している以上、本当の意味での低炭素な社会の実現とはなりません。
環境問題へ取り組むのであれば、そういったところも含めて考えていかなければなりません。表面だけの問題ではないのです。
昔はクリーンエネルギーかそうじゃないか、という話で区切りがあったように思えますが、最近は低炭素という言葉が主流です。環境問題を考える上で、テーマになりやすい言葉です。
エネルギーを作り出すのに排出する二酸化炭素の量へ注目が集まり、排出はするけど吸収もする、というカーボンニュートラルという考え方があります。全部トータルで考えて、二酸化炭素が増えるか減るか、という話へシフトしているわけです。こういった考え方は昔は少なかったように思えますが、ここ10年くらいはむしろこちらが主流かなと思います。
つまり国単位で考えると、広大な森がある地域はそれだけ結果的に低炭素というわけです。日本はそもそも土地が少なく、こういった比較となるとやはり不利な立場にいます。そこで登場するのが二酸化炭素の排出権の売買です。しかしこういった二酸化炭素排出権売買という考え方も、たしかに理にかなってますが、これは大きな意味での解決策として本当にいいんだろうか、と少し思うわけです。
日本はどう取り組むべきなのか
牛肉を食べるなとか、飛行機に乗るなとか、それもまた一つの道でしょう。天然ガスや水素エネルギーなど、原子力とは違う新しいテクノロジーに頼るのもいいでしょう。
海外と違って、日本は島国であり隣国から電気を買うこともできず、原発事故や資源のなさ、その一方でGDPは高く、世界の環境問題への取り組みという意味では不利な立場にいます。税金をさらに搾り取って生活水準を落として取り組むこともできるでしょうが、持続可能な政策でなければ国民の理解は得られません。
そこをどう乗り越えていけるか、この2020年代の大きなメインテーマに脱炭素化への取り組みも含まれているのは間違いないでしょう。この10年はちょっと原発事故もあり、政府側も国民側も正直なところ、炭素については目をつむっていたと思います。原発事故から10年、日本は世界へ向けてどう具体策を発信できるのか、注目が集まります。