黎明期は抜けたか、音楽サブスクの次の一手を考える


音楽のサブスクを利用するようになり、数年。もうiPodを持ち歩くこともなくなり、スマホにはほぼ音楽データをいれる必要もなくなりました。

以前、自宅のCDを全部データ化しCD自体は引っ越すときにやむなく処分をしましたが、それでもそのデータもほぼ開くことはないです。

昔の曲から新曲まで、ジャンルもかなり幅広く網羅され、よほどマニアックな音楽じゃない限りはけっこうサブスクで配信されるようになってきました。一部まだ解禁されてないものがあるにせよ、今は個人でやる音楽でもサブスクで配信できるサービスもありますし、次の10年間で一気に変わるんじゃないかと思います。

音楽データと違法コピー

LINE MUSICが、無料プランで月に1曲ずつ聞くことができるという面白いサービスを始めました。

特定のアーティストの曲を何度も聞くことはできませんが、毎日違う音楽との出会いがあるという意味では、これはこれでサブスクの面白い使い方ができそうです。

サブスクが始まったとき、無料で聞ける違法のサービスも実際にはかなりのユーザーが使っていたといわれています。若い子から音楽サービスを有料にするなんて、という声も上がり話題になりました。

こういったLINE MUSICの試みは、この数十年の間に行われていた音楽のデータ化による弊害への新たな挑戦ということで、個人的にはとても好意的に見ています。もっとも、うまくいくのかどうなのかは、わかりませんけどね。

無料プランというのは、ようするにそのユーザーが有料プランにいつか入ってもらうための宣伝のようなものです。こういったサブスクサービスは自社コンテンツがあるわけではないので、あまりやりすぎると体力を奪われていきかねません。

再編の動きはまだなし?

こういった音楽のサブスクは日本で普及する前にアメリカでは存在していました。ちょうど日本に入ってきたくらいに、日本国内でも数社が参入し、アメリカからもAPPLE、Google、Amazonといった大手がサービスを開始しました。

あのときは各社同時にスタートしシェアの奪い合いをしていて、LINEで国内の圧倒的な知名度とシェアのあるLINE MUSICが強いかなとも思いましたが、近年はAmazon Primeの付随機能としても一部開放されているAmazon Musicが世界的にもシェアを伸ばしているそうです。

この背景には、Amazonが進めているスマートスピーカーなど音声認識システムAlexaとの連携サービスもうまくいっているという事情もあるかもしれません。

もう数年経ってますのでそろそろ再編の動きもあるかなと思いましたが、今のところまだまだ各社踏みとどまっているところでしょう。

Amazonなんかは自社で映像コンテンツを持ってますし、総合力だと一歩抜きんでている感があります。AWAはサイバーエージェントが運営していますが、同じくサイバーエージェントが運営している映像コンテンツであるAbema TVとは連動している気配はなく、あくまで独立したものとして推し進めるのでしょうか。

サブスクのレコード会社化はあり得る?

これからのサブスクサービスはどうなるのでしょうか。

個人的にありえるかなとも思うのが、自社コンテンツの製作です。要するに、サブスクサービスがレコード会社のようになり、アーティストの曲を独占で配信するようなサービスです。音楽ではなく映像コンテンツのサブスクではすでにこの動きは起きています。

今でもすでに特定のサブスクで期間限定で先行配信をするというプロモーションは行われていますが、今のところ完全に独占して配信するのは少ないですよね。

これから先も多くのサービスが登場するでしょうが、コンテンツを持つことへの強さとサービスの胴元になるという強さに関しては、この100年間もこれからの100年間も変わることはないでしょう。多くのサービスはみんなそこを最終的には目指すので、サブスクのレコード会社化はありえるなと思っています。

ただ、現在の状況で絶対に特定のサブスクでしか聞けないという音楽活動をするのは、アーティストにとってはややリスキーな選択です。一番理想的なのは、例えば多くのアーティストを巻き込んだコンピレーションアルバムを、例えば以前あったV系バンドのリスペクトカバーを現役バンドマンがやるとか、そういう内容のアルバムを自社コンテンツとして製作するとか、企画ものの作品をサブスク会社が原盤を持ってやるような感じですかね。そういうのなら今の時代感でも無理なくできそう。

もっとも、先のことはどうなるかはわかりません。10年後は想像もできないような音楽サービスをみんながつかって音楽を聴いているかもしれませんしね。