ワクチンができればオールOKではない!そもそもワクチンとは?


コロナ収束のひとつのきっかけとして、みなさんも待望のワクチン完成があげられます。

今は口を開けばワクチン、ワクチンと、世界中の人たちがその完成の日と、それを自分に売ってもらえる(打ってもらえる)日を楽しみに待っているわけです。

おそらく、今すごい勢いでこのワクチンの研究開発が行われているかと思います。まさに研究者、医学関係者は人類の救世主ということで、その功績は計り知れません。

ワクチンは万能薬ではない

ただ、ここまでワクチンという言葉が先行してしまうと、そろそろ勘違いをしている人がいるようで、少し不安になります。

実際にワクチンが完成したときに、話と違うじゃないか!とみなさんが怒らないようにするために、そもそもワクチンとはなんなのかというお話をしたいと思います。

ワクチンとは、コロナウイルスを撲滅し、それによる肺炎を治す薬ではありません。

人間は不思議なもので、免疫という能力を持っています。体に外から入ってくるウイルスや細菌などを倒す仕組みです。この免疫のおかげで、毎日のように多くの病気から体を守っています。

さらに不思議なもので、一度未知のウイルスによる感染症にかかると、体がそのウイルスと予防法を認識し学習しまして、二度目は通用しないぞ!となるわけです。

ありがたい機能です。この機能がなければ、人間は昔に絶滅していたでしょう。

ワクチンというのは、この人間が持っている不思議な機能を利用したものです。

ワクチンとは病原菌を体にいれること

全員がコロナウイルスに感染すれば、コロナウイルス騒動は終わる、というちょっと乱暴な考え方があります。このワクチンというのはそれと根本的な発想は同じようなもので、体に意図的にコロナウイルスを注入することで、一度コロナにかかったことにする、というようなものです。

ただ、本物のコロナウイルスを入れてしまったら大変ですので、少し細工をしたものをいれます。

具体的にどのようなものになるかわかりませんが、一般的にはウイルスの毒性を弱めたもの、もしくは完全に取り除いたものを入れることになります。

つまり、ワクチンを入れれば今後の生活でコロナに感染したとき、体がコロナウイルスを覚えているのでシャットアウトできる、もしくは重篤化しにくいなどの効果が期待されます。そのためコロナウイルスで苦しんでいる人にワクチンを打っても治るわけではありません。

ワクチンの歴史は深く、浅い

人間のこの不思議なメカニズムについては昔からわかっていました。

ことの発端は、長く人間が苦しめられてきた天然痘の話になります。それこそ長きにわたり世界中で多くの死者を出した天然痘でして、昔からこの天然痘患者の膿を意図的に健康な人に注入し軽度の天然痘を感染させ、免疫を得るということは行われてきました。

その後、なぜか牛痘という病気にかかった人は天然痘が発症しない、という事実を元に研究が行われ、そこから牛痘を用いた天然痘ワクチンが世界中で使われるようになりました。それが1800年ごろの話です。ワクチン誕生から200年弱を経て、天然痘はこの世から撲滅することになったのです。撲滅宣言をだしたのは1980年ということで、つい少し前の話です。

インフルエンザは身近なワクチンの例として有名ですが、他にも麻疹や日本脳炎など多くの病気にワクチンがあります。最近なにかと話題のBCGについても、結核のためのワクチンです。

自分もいくつかワクチンを打ったことがありますが、そのおかげでこうして日々健康に毎日を送ることができます。よくタイムスリップしたい、なんて話はありますけど、うっかり昔にタイムスリップしたら天然痘などを持ち帰って未来で大流行させてしまうかもしれません。今は本当にいい時代なのです。

ワクチンを打てば安心でもない

ワクチンというのは、あくまでその病原菌を体に入れ、一度かかったことにするという仕組みなわけです。

しかし、病原菌自体も変化を続けています。同じ病気と体が判断すれば効果はあるでしょうが、果たして…というところで、ワクチンがあればなにごともオールOKという風潮が広まりすぎるのもちょっと怖いな、と最近思っています。

とはいえ、ワクチンができればかなり強力な味方になるということで、最初は医療関係者を中心に接種されるでしょうが、いずれ僕らも打つことになるのでしょう。

今の段階で研究者でも医療関係者でもない僕らにとって今できることはそう、家にいること。毎日STAYHOMEで、この苦難を乗り切りましょう。