Twitterで #検察庁法改正案に抗議します というハッシュタグがすさまじい勢いで拡散されていました。
これはどういうこと?
今、公務員の定年を少しずつ引き上げるような流れがあります。
高齢化社会ですし、一般的な会社も定年をあげる動きもあります。年金をもらえる年齢も上がってますし、公務員だって定年が上がるのは、まぁおかしなことではありません。むしろ公務員の定年が上がることで、一般企業も動きやすくなり、老後も安心して働けるようになるでしょう。
ことの発端は、国家公務員の定年を65歳にし、検察官もついでにそれに合わせて定年を65歳までにしましょうかね、という法律改正の話がでてきたことでした。
これだけ読むと、まあそれもそうか、と思えるかもしれません。じゃあこれのなにが問題なのでしょうか?
みんなは何に怒っているの?
東京高等検察庁のトップが、なんとちょうどこの定年のタイミングに差し掛かっているわけですね。
そしてもう一つ、現在のトップである黒川弘務東京高検検事長は、安倍首相寄りの人間といわれています。これはいわれているだけで、断言はできません。
ただ、今まで甘利大臣の疑惑など個人的にもよくもまぁ不起訴になったもんだと思った出来事もありましたが、ゴシップ感のある記事ですが、こういう情報もあります。
“真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸と癒着した法務省幹部の”捜査潰し”全内幕 (2016年6月3日) – エキサイトニュース
4年前の記事ですが、ここでも黒川氏の名前はでてきます。
つまり、安倍首相が自分側に有利な人間を検察のトップに置いている、そして定年を伸ばし、その状況を長く作ろうとしている、のではないか!?ということに対して怒っているわけですね。
しかし法施行日は令和4年4月1日ということで、2年後です。まだ結構先の話なんですよね。というか、黒川氏は定年してますし、そもそも現政権の任期後の話です。
これって、つまり…?
問題点はどこか?検察の独立性と三権分立
検察というのはあくまで行政の組織です。
なので行政のトップである内閣総理大臣の影響力について気になるところですが、それでも検察というのはその仕事内容からしても、あまりなにかの影響は受けてほしくはありませんね。
そういったことからも、検察というのは役人でありながらも、その独立性についてはなんとなく保たれてきているという経緯があります。今回のように、内閣の影響力が検察にも及ぶのではないか、という疑惑が起きると根底から揺さぶられてしまうので、それが起きないようにしていたわけです。人事などについても、あくまで検察側で作り提出したものを内閣が許可を出すという慣例もあります。
今回の一件で、これまでのバランス感が崩れてしまったように思えます。それはとても残念なことです。これでは検察への信頼もなくなってしまいます。また同時に、のちの内閣も同じようなことをするのではないか、という疑念まで生まれてしまいます。
実際そうだ、というより、そういった疑念がでていること自体が問題、ということです。
三権分立が、という意見も多くみられましたが、半分は間違っていて、たしかに検察に影響力が及ぶことで立件されない、ということはあるかもしれません。ですが三権分立というのはあくまで行政、司法、立法の関係性ですので、今回の騒動がどうなろうと、三権分立は三権分立のままです。
余談ですが、三権分立の図の矢印の問題も、個人的にはそこまでおかしいこととは思っていません。行政が国民に対して政治を行う、という意味では間違ってないと思っています。それを支配しているかのように誤解されてしまっているのは残念ですね。ましてや、この法律が通ることで支配される、という誤解まであるようで、とても残念です。そもそも、話題になっている相関図も悪意を感じて、こちらもいろいろ残念です。
その中で、立件民主党の枝野代表の動画については、あの短い時間に何が問題なのかを端的にまとめてありました。今回のハッシュタグの件、なんだかよくわからないけど便乗して怒ってる人は、ぜひこちらの短い動画をご覧になった方がよろしいでしょう。それでもよくわからない人は、あのへんな相関図をつけてツイートするより、この立件民主党の動画に合わせてリツイートする方がいいですよ。
あまりにも信頼を失い過ぎた
自分自身として、日本人の国民性や慣習などを鑑み、実はコロナへの対応などについて、みんなが言うほど落第点とは思っていません。むしろオリンピックも含め海外にもしっかり根回しを行い、起きるべきハレーションも最低限に抑え、国民への制限も少なく、ギリギリのところでいわゆる日本的な良くも悪くもバランス感のいい政治手腕だったと、一定の評価をしています。現在の株価についても死者数についても、あくまで数字だけで考えればそれは批判される数字ではないと考えています。
今回の定年延長問題についても、例えば今回の黒川氏がもし反内閣の立場をとっていて、これまでもガンガン立件しまくっている人であったら、逆に検察官だけ定年を延長させないことにする、としていたらそっちが問題になっていたことでしょう。
つまり論点はそこにはなく、根本の問題は検察が官邸寄りはないかという疑念が生まれていること、検察にも内閣の影響が出てしまっているのかという疑念が生まれていること、総じて内閣への信頼を失い過ぎたということです。
今回の件については、官邸と検察の関係性についてはきちんと説明する必要はあります。検察は違うやつをトップにするべきでは、という意見もあるでしょうが、それはそれで総理が検察の人事に口を出すようなことにもなってしまうかもしれません。
そして、ここらで国民の信を問うタイミングではあると思っています。
雑感、改憲はひっこめるべき
しかし問題はこのコロナということで、今のタイミングで解散総選挙というのは考えにくいですよね。外出自粛とか言ってて選挙やるのか、って話です。
現実的に考えて、今ここで解散総選挙をするのは日本にとってマイナスにしかなりません。とはいえTwitterの意見がすべてとはいいませんが、それでもあまりにも嫌われたリーダーというのも、あまりいい状態ではないように思えます。
でも「近いうちに解散します」みたいなことを言ったら、それこそ昔の再来ですよね。懐かしい。
なかなか難しいところですが、まあこの夏の一度コロナが収まるであろうタイミングに解散総選挙をしてしまうのもいいんじゃないかな、とも。冬にはまたぶり返しそうな気もしていますし。
まぁでも、やっぱ無理かな。
本来であれば、今年はオリンピックもあり、改憲についてもいよいよ本格的な議論へ突入するであろうと思っていました。自分自身も今年のテーマはオリンピック、5G、改憲といったところで、この三つをしっかりとアヤノ.メで取り上げていきたいと思っていました。
ですがオリンピックは延期、5Gもコロナのこともありそれどころではなくなり、改憲についても議論できる段階ではなくなってきているような印象があります。
自分は憲法については改憲派です。なんでもかんでも今のように無理な拡大解釈をして押し通すよりも、時代に合わせ憲法を修正していく必要があります。どこをどう変えるべきなのか、ようやく日本人がちゃんと憲法について考えてくれるいい機会だと思っていましたが、さすがの自分も今は改憲を論点に挙げるべきではないと考えています。今はなにをやっても嫌われる一方で、まともな議論ができる土壌にありません。
せめて願わくば、改憲はぜひ嫌われてない内閣に進めてもらいたいものです。安倍首相にとっては悲願の憲法改正ではありますが、例え10年先、20年先になったとしても、ここは一回引っ込めてもらいたいなー、というのが今回の雑感です。
今回のコロナの件で本当の意味で政治に興味や関心を持つ人が増えたのであれば、10年先に改憲の議論をすれば今よりもう少しまともな新憲法の議論になりそうな気もしていて、結果的にいいものができるかもしれません。本当に増えたのであればの話ですが。