「ハイキュー!!」連載終了へ。ジャンプ漫画主人公に見る社会情勢


今週発売した週刊少年ジャンプで大人気バレーボール漫画「ハイキュー!!」が最終回を迎えました。

今年は他にも「鬼滅の刃」などヒット作品が連載終了ということで、ジャンプはよく話題になっていますね。

その裏で珍現象が起きていまして、なんと週刊少年ジャンプでスポーツ漫画の連載がゼロになるということが起きています。

まぁ少年漫画、少女漫画という言い方自体も性差を強調させるいいかたであり、徐々になくなっていくかもしれません。もちろん少女漫画にもたくさんのスポーツ物があるでしょうが、しかしそれでも少年誌ではスポーツ物は人気テーマということで、この東京オリンピックイヤーにジャンプからスポーツ漫画が消えるというのは寂しい話でもあります。

社会と主人公

漫画の歴史はそれなりに長く、主人公の像から時代を読み取ることができます。

才能ゼロで努力だけでのし上がる、というスポーツ漫画は少ないかもしれないですが、努力によって才能を開花させ活躍する漫画もあれば、最初からものすごい才能を持っているチート型の主人公もいます。

この対比をする上でパッとでてくるのが「SLAM DUNK(90)」「テニスの王子様(99)」なんですが、バスケのこと全然知らなかったけど努力や紆余曲折を経て才能を開花させた桜木花道と、最初から天才的なテニスの才能を見せつける越前リョーマがそれぞれ主人公です。

この9年間の間になにがあったのか。90年は、日本はまさにバブル全盛期のころ。何をしても右肩上がり。お金はあふれ、社会はイケイケ状態でした。

じゃあそんなときに何をやってもうまくいくような主人公にあこがれるかというと、実生活が何をやってもうまくいくのに、そんな話は面白くないわけです。

では99年はというと、この時期は第二次平成不況と呼ばれている時期です。発端は東アジアで起きたアジア通貨危機によるもので、日本ではバブル崩壊に加えその少し前に消費税増税などもあり、デフレが進み消費も落ち込んでいる状態でした。2000年にはマクドナルドのハンバーガーの価格が65年、2002年には59円と、今では想像ができない価格だったのも懐かしいですね。

そんな辛い時期に彗星のごとく現れた越前リョーマは、その天才的な才能がとにかくまぶしく、少年たちの心をわしづかみにし、大人気漫画へとなったのでした。

ここ10年程前、ライトノベルを中心に、とにかく主人公が強い作品が多く登場しています。2000年代は就職氷河期からのリーマンショック、震災とやはり景気は落ち込んでいる中、そういう心理的な影響もどこかにはあるのかなと思っています。

※当てはまらないケースもたくさんあるけどね(笑)

マイナースポーツにも脚光

バスケもスラムダンクで一気に人気になったスポーツといわれていますが、ジャンプ漫画は必ずしも野球やサッカーのような人気スポーツばかり取り上げているわけではありません。

ハイキュー!!はそれこそ男子バレーの話です。女子バレーですと「アタックNo.1」というメガヒット作品がありましたが、男子バレーはパッとでてきませんね。「アタックNo.1」についても割と昔の作品ですので、ハイキュー!!をきっかけにバレーボールに興味を持った方も多いのではないでしょうか。

他にも「アイシールド21」というアメフト漫画もありアニメ化などヒットしましたが、アメフトも決して日本で人気なスポーツではないですが、それでもこうしてヒットするところが面白いところ。

サッカーや野球のような有名なスポーツを取り上げてもヒットせず終わる漫画も多く、それはそれ、ということなのでしょう。

またそのうちジャンプでスポーツ漫画が連載することになるでしょうが、次はどんなヒット作品が生まれるのか、楽しみですね。