せめて東京オリンピック開催への模索はするべき


東京オリンピックが数か月後に控える中、なかなか状況が好転しないのも事実です。

今のところ開催の方向で話は進んでいますが、少しずつトーンダウンが見られるようになりました。開催中止に向けて、準備運動を始めた可能性もあります。

中止の可能性

おそらく、多くの人は心の中で中止になるに決まっているだろ、と思っていると思います。

世論調査でも、世界の反応も、全てが中止だろう、と感じています。

しかしそれでも、開催に向けてこの数か月、ずっと動いていました。今年の1月半ばごろまではそういった発言が要人から多かったわけですが、ここにきて一斉にいたるところからトーンダウンが見られるようになりました。

菅総理も強気に同じことを繰り返していますが、ちょっと雲行きは怪しいですね。

開催する方法がない

個人的にはもちろんやってほしいですが、現実的にこの状況でどうやって開催するのか、どんな策があるのだろうと思います。

オリンピックはこういった感染症とは非常に相性が悪いですね。本来であれば争いが多い世の中でも、オリンピックの時は一時停戦して、みんなでスポーツ競技を通じて親交を…という平和の祭典のような位置づけにもなっていました。しかし、今はもう集うこと自体が悪になっている以上、オリンピックの根幹が成り立たなくなっているように思えます。

やるとしても海外からのお客さんはリモートでの応援は確実でしょうが、無観客開催も十分にあり得ます。しかしそれでも多くの選手、スタッフが移動しなければなりません。無観客ならいける、と言い切れないところがつらいところです。

分散開催、はたまたリモートで開催など多くのアイデアも出ているでしょうが、現実的には苦しそうですね。

日本国内だけのスポーツ競技ならまだしも、海外で、となるとそう簡単な話ではありません。

ワールドカップや次のオリンピックはどうなる?

コロナはまだまだ終わりません。

来年にはカタールワールドカップが行われます。しかしそれもどうなることでしょう。

もし今年の東京オリンピックが中止になるのであれば、次の焦点は来年のワールドカップになります。1年延期になったEURO 2020は予定通り行われそうですが、それはあくまでヨーロッパ内の話です。

また、2024年にはパリでオリンピックが行われます。厳しいロックダウンに近い措置を行っているパリですが、3年後にオリンピックはできるのでしょうか。まだ先とはいえ、関係者は戦々恐々としていることでしょう。

4年スライド案などもあるようですが、スライドはたしかにパリにとってもロサンゼルスにとってもありがたい話かもしれません。

それでも開催するための模索はするべき

もうこの状況のままこれから暮らしていかなければならないのだから、どこかのタイミングで、この状況でどうやったら前に進むことができるかを考えていく必要があります。

この状況でどうやったら安全にオリンピックを開催できるのかを考える方へシフトしてもらいたかったですね。そういった意味で、こうすればいいのか、というモデルケースを東京オリンピックで作り、世界に示してもらいたかったんですが、ちょっとダメそうです。残念です。

森会長や二階幹事長も、やるやると強気の発言をするのはいいけども、こういう前に進むための具体的な方法を示すことができると、もう少し世論も変わるとは思うんですけどね。

例えその結果、東京オリンピックはそれでも中止になるかもしれません。それでも、そういった模索は必ず次に活かすことができます。今回真剣に議論し、対策案などを開示することで、それが来年以降のワールドカップや次のオリンピック開催へのヒントになることもあるでしょう。

そういう意味でも、前に進めなくても、せめて前を向く2021年になることを期待したいです。