今日、12月30日は東京メトロ銀座線が開通した日です。1927年ということで、なんと90年も前の話です。もちろん日本で初めての地下鉄であり、アジアで初めての地下鉄です。世界初の地下鉄は1863年のロンドンとのことで、こちらもすごいですね。
主要地域を結ぶ夢の銀座線
銀座線は新橋から浅草までを結ぶ地下鉄として計画されていましたが、関東大震災の影響でまずは上野から浅草のわずか2.2キロメートルから開業しました。当時はたった五分の乗車時間のために二時間もの行列ができたそうです。地下鉄なんてとても珍しいですし、それもうなずけますね。
上野より先も徐々に伸びて、1934年には当初の予定であった新橋まで伸びることとなりました。その後、1938年には現在のように渋谷まで行くようになりました。現在でもとても重要な路線の一つですね。
地下鉄は新しければ新しいほど、地下に作られます。銀座線はもっとも古い地下鉄なので、わりと浅いところにあるのが特徴です。階段をちょっと降りたらホームになります。駅の天井が低いのも、地下鉄の歴史を今でも感じるものになっています。
デパートへ直接つながる銀座線
銀座線の駅名、みなさん言えますか?銀座線には三越前という駅があります。他にもたくさんデパートがあるのに、なぜここだけ三越前という駅名なのでしょうか。
この銀座線創設の時代、財政難でした。そこで三越はなんと自腹で駅を作ったのです。その駅が三越前です。条件が、広告を無償で出せるようにすること、駅名を三越前にすること、直接デパートへ出入りできるようにすること、とあったそうです。こういった電車をでてそのままデパートへ、というのは今ではよく見かける光景ではありますが、当時としてはとても画期的だったことでしょう。
現在も渋谷の東急から浅草の松屋まで、百貨店を多く結んでいるのも銀座線の特徴となっています。当時の方はデパートをハシゴするのに銀座線を使われたのでしょうね。
銀座線渋谷駅が地上にある謎
再開発が進み、大きく形を変えようとしている渋谷駅。銀座線渋谷駅も大工事をしてホームを移動することになっています。
ところで、東京に馴染みのない方がつい混乱してしまうところで、地下鉄なのに銀座線渋谷駅は地上階にあるのです。なぜ地下鉄に乗るのに階段を上がらなくてはならないのか、ちょっとややこしいところではあります。
所説あるようですが、渋谷という土地の形状がやはり原因のようです。渋谷は少し歩けばわかるように、坂が多い地域です。渋谷という地名からもわかるように、東京の中でも谷になっている地域です。そのため、地下鉄をまっすぐ伸ばしていたら地上になってしまった、ということですね。今の技術でしたら地下に潜らせることもできるので、新しくできた地下鉄は全部地下にあり、乗り換えを煩雑にさせる原因となったのです。
幻の駅にある東京のロマン
地下鉄には「神宮前駅」「万世橋駅」という幻の駅があります。この12月に銀座線90周年のイベントに合わせてライトアップが行われていました。
東京にはこういった幻の駅や幻の線路がいくつかあります。そもそも地下鉄というのも、非常に謎の多い存在でありまして、そこには現在人の知らない東京、さらには江戸の秘密が隠されているかもしれません。表面上は大きく姿を変えて成長している東京ですが、思わぬところに昔の痕跡が多く残っています。こういったものも、東京という街の魅力の一つなのかなと思いますね。