前に、「NFTで音楽販売をした場合、その曲はもう演奏できなくなるのか」という旨の質問をコメントでいただきました。
(YouTubeでいただいたコメントですが、もう消されたかもです)
しかしこれはとてもいい視点だなと思い、NFTと所有権、著作権のことをおさらいしてみたいと思います。
音楽を所有するという概念
NFTでの音楽発売は、まだまだシーンとしてはこれからです。
どういった形で行われていくのか、業界全体が模索しているところです。
NFTの使い方次第ですが、NFTを所有していないと楽曲を聞くことができない、ということも可能かと思います。
特定のNFTを持っている人だけが入ることができるDISCORDはあるわけで、すぐできそうですよね。
そういったクローズドな音楽体験も、レアさを創出するという意味では面白いかもしれません。
とはいえ、おそらく音楽業界の狙いどころとしてはここではなく、NFTはNFT、音楽視聴は音楽視聴となっていくことでしょう。
例えばすでに何億もするCryptoPunksという絵があります。ですが、これは所有していなくても見ることはできます。
音楽も同じように、所有していなくても聞くことはできるというものになるのかなと思います。
絵画と音楽は最初から違っていて、絵画はモノであるにも関わらず、音楽とは実は最初からデータです。
そのため音楽とITの相性はとてもいいという旨の話を著書「ITの音楽史」でも展開していますが、それであるがゆえにNFTという概念が登場した場合、絵画の方がNFTとの馴染みやすさがよかったともいえます。
音楽にはもともと所有という概念が希薄です。
CDがあるじゃんという話ですが、CDはあくまで音楽というデータをコピーした器ですからね。
ある意味では所有ですが、ある意味では所有ではありません。
イメージ的には、ピカソの絵の絵葉書を持っていた場合、それは「ピカソの絵を持っている」といえるかどうか、ということです。ある意味では持ってますが、ある意味では持っていません。これと同じです。
絵画はモノですから、最初から所有という概念がありました。そのためデジタル上で所有するというイメージがわかりやすかったです。
音楽の場合は、音楽の歴史上初めて「音楽を所有する」という概念が登場したことになります。
自分が、音楽とWEB3、NFTの可能性についていかに革命的かという話をずっとしていますが、その根本的な理由はここにあります。
著作権と所有
さて、音楽とともにやってくるのが権利問題です。
「音楽を所有する」という概念が希薄と先述しましたが、音楽業界では別の形で所有という概念があります。
これが権利です。
実際に世の中には数多くの音楽が存在します。しかし本当の意味でその権利を一人のミュージシャンが持っている事例はほぼないのではないでしょうか。
NFTが登場したとき、この権利について混同する意見が多く聞かれました。
自分の楽曲をNFT販売した際、その曲を演奏できなくなるのかという質問についてですが、これはNFT販売と権利販売は別問題です。
なので、NFTで楽曲を買ってくれた場合も、その楽曲の権利は譲渡されません。そうしないと、印税などもNFT所有者に入ることになってしまいますしね。
革命はアメリカから
NFTと音楽を考える際、一番ネックになるのがこの権利問題です。
そのため、音楽業界でWEB3が一番最初に花開く場所は、ほぼ確実にインディーズシーンだと考えています。
特に法的な面、ITへの関心度なども考慮し、アメリカのインディーズシーンからなにかが生まれるのではないかと期待しています。
とはいえ、ITはやはりグローバル。本拠地はアメリカだったとしても、そこには世界中のミュージシャンが集うことになるでしょう。