QUESTIONより:摩天楼オペラのアナログレコード化


QUESTIONより

彩雨さん、こんにちは。 最近、レコードを発売するアーティストが増えているようです。 またCD購入特典としてカセットやソノシートが付いていることがあります。 正直なところCDの方がすぐ聴けて良いのですが、アナログ的なものには、懐かしさやいつもと違う音質を聴ける楽しさがあります。 彩雨さんは、アナログブームについてどう思われますか? また、もし摩天楼オペラの曲をレコードにするとしたら、どの曲を挙げますか? ちなみに私は「Freesia」が聴きたいです!


アナログブーム、いいですね。レコードだけでなく、ここにきてカセットテープにも人気が集まっているというニュースを見たことがあります。若者にとってはどれも斬新な音楽の聞き方なのかもしれません。

ソニーもなんとアナログレコードの自主生産工場を29年ぶりに復活させるというニュースもありました。
ソニー アナログレコード自社生産を復活(ホウドウキョク) – Yahoo!ニュース

便利さだけが全てではない

”音楽”を聞くということだけでしたら、何で聞いてもその本質は変わらないというのが自分の持論であります。どういうことかというと、レコードで聞いてもカセットテープで聞いても、極端な話ですが違法アップロードされたMP3を聞いても、その音楽が違う音楽になるわけではないということです。もちろん「音質が違う!」という話にもなるのですが、それは音楽を聞く環境に依存されるものであり、音楽の本質は変わらないものであると考えています。

ここで

”音楽”を聞くこと

ではなく

”音楽を聞く”こと

ということまでひっくるめると、差が出てきます。

CDはまず仕事後にタワレコへ行き、ワクワクしながら商品を取り、いつもの店員さんに商品を渡し会計をします。帰りの電車の中でジャケットを開けつつ、帰宅してCDプレーヤーに入れて音楽を聞きます。この一連の体験が”音楽を聞く”という体験です。レコードの場合は、さらに針を回っているレコードの上に落とすという動作も含めて”音楽を聞く”という体験です。

“音楽”を聞くのであればより便利なデータ化した音楽を楽しむほうが楽です。”音楽を聞く”という体験で考えると、もしかしたら手間のかかるレコードやカセットテープになにか他ではできない体験(=魅力)を得られているのかもしれません。音も、レコードなどちゃんとプレーヤーを管理しないといけませんしね。

そんな彩雨さんは、ここしばらくCDやレコードで音楽を聞いていませんけどね。

音の鳴るものを作りたい

ソノシートのようなアナログの簡易レコードもとてもいいと思っています。前に音の鳴る何かを作りたいとレコード会社に提案したことがありました。ソノシート&簡易プレーヤーみたいなイメージではあるのですが、例えば昔の蓄音機?みたいに手回しで音楽が鳴るとか、そういったもののイメージです。(※当然却下されました)

音楽業界はあくまで出版と権利ビジネスでこの100年間、歴史を作ってきました。レコード、CD、データ配信、形は変われど、中身は同じです。それはそれでいいのですが、ここで一度”ものづくり”の観点で音楽を商品化するアイデアから、なにか新しい音楽業界のあり方を模索できないのかなと思っています。一度100年前に頭を戻して、今の技術で新たに構造を作っていけないものかなと思います。ソノシートとか簡易蓄音機とか、そういうオモチャみたいなものでも、なにか実際に作ってみると新しい音楽のあり方に気づけるんじゃないかなと思っていています。

そういった意味で、今はちょっと違うベクトルで、音楽を作る側も聞く側も素敵な体験を共有できるようなシステムを作れないかなと模索中です。まぁ、さっぱり思いつきませんけどね。

P.S 摩天楼オペラの曲をレコードにするなら「初恋は永遠に」がいいなと思っています。