怖いけど重要!緊急地震速報の音の秘密


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです

緊急地震速報のチャイム音を耳にすると、特に東日本大震災を経験した人の中には、当時の緊張感や不安を思い出してしまう方も多いかもしれません。テレビやスマホから突然流れるあの独特なメロディーは、わずかな時間でも「大きな地震が来るかもしれない」と身構えさせる力を持っています。2011年3月11日に日本を襲った大地震の影響で、あの日以降、夜中でも何度となく鳴り響いた緊急地震速報のチャイムは強烈に印象づけられ、多くの人の記憶に深く刻まれました。怖い、胸がざわざわする、と感じる方が多いのは、トラウマと結びついているためでもあるのでしょう。

作曲者とゴジラ音楽の意外なつながり

テレビの緊急地震速報で流れる「チャランチャラン」というあのチャイム音を作曲したのは、NHKの依頼を受けた衣袋(いふくろ)徹さんという方だそうです。そして彼は、あのゴジラのテーマ曲を手がけた作曲家・伊福部昭さんの甥にあたる人物でもあります。ゴジラのテーマといえば、重厚感と緊張感あふれる名曲として知られています。伊福部昭さんの音楽に通じる部分があるからこそ、あの緊急地震速報のチャイムにも不安や危機感を煽るニュアンスが生かされているのではないかと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし実際には、あまりにも有名で強烈な印象があるゴジラのフレーズをそのまま使うと恐怖が増しすぎるという配慮もあり、一部のメロディーは外される形となったそうです。

なぜ恐怖を感じる音作りになっているのか

緊急地震速報の音は「急に音程が変化する」要素が特徴的で、さらに不協和音を含んでいるため、私たちの脳に強く訴えかけてきます。突発的に変わるメロディーや、不安定な響きに耳が警告を受けることで、「ただならぬ事態が起きている」というシグナルを瞬時に受け取るわけです。スマホの緊急地震速報で流れる「ブザー音」や「サイン音」とテレビのチャイム音は異なるものの、どれもパッと聞いただけで日常の音とはまったく違う、緊迫した雰囲気を覚えます。怖いという感情は不快かもしれませんが、それこそが人間に対して最大限の注意喚起を与える工夫でもあるのです。

「怖いから変えてほしい」という声とその理由

あのチャイム音を聞くと胸が苦しくなる、怖すぎてパニックになる、といった声が存在するのも事実です。トラウマ反応を持っている人にとっては、音楽的にも刺激が強いあの音はたしかにつらいものでしょう。しかし、緊急地震速報の目的は、限られた数秒のうちに「これから大きな揺れがやってくるかもしれない」という事実を多くの人に強く認識させ、少しでも被害を減らすことにあります。もし音が穏やかで耳触りが良いものだったら、「何か鳴ってるな」程度でスルーされてしまうかもしれません。あの不協和音や突発的なメロディーは、「命を守るために一瞬で最大限の注意を引く」という機能を優先した結果とも言えます。

進化するテクノロジーとわずかな猶予の大切さ

近年の地震観測技術によって、たとえ数秒~十数秒の猶予であっても「今から地震が来る」というアラートを受け取れるようになりました。その短い時間であっても、火を消したり窓から離れたりなど、命を守るための初動対応を取ることが可能になります。緊急地震速報のチャイム音は、その短い猶予の中で人々が最善の行動を取れるよう、本能に訴えかける存在として欠かせません。誤報があって「うるさい」「役に立たない」と思われることもあるかもしれませんが、たった数秒でも対策を取れることが災害時には大きな違いを生むのです。

まとめ

あの独特な緊急地震速報のメロディーは、作曲者のバックグラウンドと危機管理のための設計が見事に合わさった結果だと言えるでしょう。ゴジラのテーマ曲で知られる家系と関連していることからも、その音楽性にはただならぬ緊張感のエッセンスが宿っています。怖いという印象を与えつつも、一瞬で私たちの注意をかっさらい、地震という脅威へ備えさせるあの音こそが、災害対策として最適解のひとつなのかもしれません。トラウマを抱える人がいる一方で、被害を少しでも減らす可能性を高める音として、これからも緊急地震速報のチャイムは私たちと共にあり続けるでしょう。