これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
オーストラリアのSNS禁止令、本当に効果ある?僕が思う「抜け道」と「定義の難しさ」
オーストラリア政府が、16歳未満の子供によるSNSの利用を禁止すると発表しました。以前から「やるかもしれない」と噂にはなっていましたが、ついに実行に移された形です。さらに驚きなのが、その対象に動画投稿サイトのYouTubeも含まれるということ。これはかなり思い切った判断ですよね。
この禁止令、具体的には「16歳未満の子供が自分のアカウントを持つことを禁止する」というものだそうです。一方で、親が子供にYouTubeを見せたり、教育目的で学校の先生が見せたりすることは妨げないとのこと。つまり、子供が自分の意思で、勝手に見るのがダメだ、ということなのでしょう。ただ、会見では記者から「アカウントがなくても動画は見れるけど、実効性はあるの?」という鋭い質問も飛んだようです。確かに、ウェブサイトへのアクセス自体を禁止するわけではないですからね。
罰せられるのは子供や親ではなく「事業者」
では、このルールを破った場合に誰が罰せられるのか。ここが非常に興味深いポイントです。実は、子供本人やその親に罰則はないそうなんです。「あなたの子供が勝手にYouTubeを見ていたから逮捕です」なんてことにはならない。じゃあ誰が、というと、どうやらYouTubeやTikTokといった「事業者」側が罰金を科される可能性がある、とのこと。
これはつまり、オーストラリア政府からプラットフォーム側への「おたくのサービスで、うちの国の子供がアカウントを作れないように対策しなさいよ」という、かなり強いメッセージなわけです。これに対して、各SNSの運営元、特にX(旧Twitter)のイーロン・マスクあたりは、以前からオーストラリア政府の方針に批判的でしたから、今回もきっと何か物申しているんじゃないかな、なんて想像してしまいます。
そもそも「SNS」って何だろう?
「SNSから有害な情報にアクセスできてしまう」という禁止令の趣旨は、理解できなくもありません。しかし、それを言い出したら、そもそもインターネットという存在そのものが議論の対象になりかねない気もします。そして今回、僕が一番引っかかっているのは、「SNS」という言葉の定義が、あまりにも曖昧だということです。
政府が「これはダメ、あれはダメ」とリストアップしていくのでしょうが、そこから漏れた少しマニアックなSNSならOKなのか、という話になりますよね。そもそもSNSの定義とは何でしょう。例えば、先日Mrs. GREEN APPLEの件で話題になったYahoo!天気。あれもコメント機能があり、ユーザー同士がコミュニケーションを取れるわけですから、一種のSNSと言えなくもありません。Yahoo!ニュースのコメント欄、いわゆる「ヤフコメ」だってそうです。これらはセーフなのか、アウトなのか。この線引きは、非常に難しい問題だと思います。
抜け道だらけ?世界の動向を見守りたい
定義が曖昧だと、必ず「じゃあ、これはどうなの?」という抜け道を探す動きが出てきます。新しいSNSが出てきたら、その都度リストに追加していくのでしょうか。いたちごっこになりそうな予感がします。YouTubeにしても、例えば「これはYouTubeではありません。独自のマニアックな動画サイトです」という体裁のアプリを作って、中身はYouTubeに直接繋がっている、なんていう抜け道も考えられてしまいます。
このオーストラリアの動きが世界に広がるかというと、現時点では何とも言えません。特にアメリカは、現政権の動向を見ても、こういった規制強化の方向には進まないでしょう。日本で「16歳未満はYouTube禁止」という未来も、正直なところ、今の段階ではちょっと想像しにくいです。
とはいえ、オーストラリアが世界に先駆けて大きな一歩を踏み出したのは事実。この発表を受けて、他の国々がどう反応し、どう動いていくのか。子供とインターネットの付き合い方という大きなテーマについて、僕も引き続き注目していきたいと思います。