アメリカ政府も本気!?インテルの株を政府が買った理由


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです

米国政府がインテル株を10%取得。その裏にある「半導体覇権」を巡る国家戦略

アメリカ政府が、半導体大手のインテルの株式を10%取得した、というニュースが飛び込んできました。政府が民間企業の株式を保有すること自体は、日本でも例がないわけではありません。しかし、今回の動きは、単なる投資という枠を超えた、アメリカという国家の明確な意思表示だと僕は捉えています。

「半導体を制する者が、世界を制す」

現代社会において、半導体はもはや石油や食料と同じレベルの戦略物資です。スマートフォンから自動車、そして今話題のAIに至るまで、あらゆるテクノロジーの心臓部には半導体が組み込まれています。「半導体を制する者が、世界を制す」と言っても過言ではないほど、その重要性は高まっています。

現在、その覇権を握っているのは、間違いなくアメリカです。時価総額で世界トップに躍り出たNVIDIAも、そして今回話題になったインテルも、アメリカの企業です。しかし、その覇権に「待った」をかけようと、猛烈な勢いで追い上げているのが中国です。

中国の弱点と、アメリカの強い意志

中国は、HuaweiやXiaomiといった企業が示すように、様々な分野で高い技術力を持っています。しかし、唯一にして最大の弱点が、この半導体でした。米中間の貿易規制により、アメリカ製の高性能な半導体を自由に使うことができず、それが中国の技術発展の大きな足かせとなっているのです。逆に言えば、もし中国が独自の高性能な半導体を開発・量産できるようになれば、世界のパワーバランスは一変する可能性があります。中国が台湾に強く執着する理由の一つも、世界最高峰の半導体製造技術を持つ台湾の企業(TSMC)にある、と言われています。

アメリカとしては、この半導体における優位性を、決して他国に譲るわけにはいきません。今回のインテル株取得は、まさにその強い意志の表れでしょう。政府がインテルの大株主となることで、他国からの干渉を防ぎ、国策として半導体産業を強力にバックアップしていく。そして、「この分野の主導権は渡さない」という、中国に対する強烈な牽制メッセージでもあるのです。

奇しくも似てきた米中の「国家主導」モデル

これまで、中国は政府が民間企業を強くコントロールする国家主導型のモデルで経済成長を遂げてきました。一方で、アメリカは自由な市場経済を標榜してきたはずです。しかし、今回のように政府が民間企業の経営に深く関与し、国家戦略として産業を育成していくという姿勢は、奇しくも中国のやり方に近づいているようにも見えます。それだけ、アメリカがこの半導体覇権の維持に危機感を抱いているということなのでしょう。

AIの進化によって、半導体の重要性は今後ますます高まっていきます。2020年代の後半戦、この半導体を巡る米中の覇権争いは、間違いなく世界の動向を左右する最も大きなテーマの一つです。今回のニュースは、その戦いが新たなフェーズに入ったことを示す、象徴的な出来事だと言えるでしょう。この巨大なゲームの行方を、僕もしっかりと見届けていきたいと思います。