もし富士山が噴火したら


これはニュース読み配信の文字起こしをブログ化したものです

もし富士山が噴火したら…AIが描く「火山灰に覆われた東京」の衝撃

東京都が、AIを活用して「富士山が大規模噴火した際の都内の被害」を再現した動画を公開しました。鉄道は止まり、車は動かず、停電や通信障害が発生する。そんな都市機能が完全に麻痺した東京の姿は、まさに悪夢のようですが、これは決して絵空事ではありません。

歴史が証明する「関東地方」のリスク

国の想定によれば、大規模な噴火が起きれば、最悪の場合、都内の広範囲で2cmから10cmもの火山灰が降り積もるとされています。なぜ、富士山から距離のある関東地方が、これほど大きな影響を受けるのでしょうか。

それは、偏西風という風の流れと、この土地が持つ歴史に理由があります。富士山が噴火すると、火山灰は東へ流れる。これは、江戸時代に起きた噴火でも、江戸(現在の東京)に大量の火山灰が降ったという記録が証明しています。そもそも、私たちが暮らすこの関東平野の土台となっている「関東ローム層」は、大昔の火山の噴火によって積もった火山灰そのものなのです。つまり、この地に火山灰が降るのは、地球の摂理として「しょうがない」ことなのです。

1年続くかもしれない影響と、備えの難しさ

地震や台風と違い、火山噴火の影響は非常に長く続きます。一度積もった火山灰は、簡単にはなくなりません。インフラが復旧したとしても、風が吹くたびに灰が舞い上がり、健康被害や機械の故障を引き起こす。その影響は、1年という単位で続く可能性すらあります。

動画では「日頃からの備え」が呼びかけられていますが、正直なところ「どうすればいいのか」と途方に暮れてしまいます。マスクや食料の備蓄はもちろん最低限必要でしょう。しかし、現代社会がいかに火山灰に対して脆弱であるかを考えると、個人でできることには限界があります。

災害大国・日本に住むということ

そして、このリスクは富士山に限りません。日本には数多くの活火山が存在し、九州の阿蘇山に至っては、もしカルデラ噴火と呼ばれる破局的な噴火を起こせば、日本の人口の大半が危機に瀕するとも言われています。

地震、台風、そして火山噴火。私たちは、こうした自然の脅威と常に隣り合わせの国に住んでいるという事実を、改めて認識する必要があります。今回の東京都の動画は、その厳しい現実を、私たちに突きつけるものだったのかもしれません。