「伝説の白いキーウィ」に思うAI画像の考え方


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです

科学ニュースサイト「ナゾロジー」に、「伝説級に珍しい白いキーウィの姿が撮影される」という、非常に興味深い記事が掲載されました。

本物より美しい「イメージ画像」という問題

記事のトップを飾るのは、雪のように真っ白で、ふわふわの羽毛を持つ、とても可愛らしいキウイの写真です。しかし、画像の下に小さく添えられたクレジットを見ると、そこには「Generated by OpenAI’s DALL-E」の文字が。そう、この写真はAIによって生成された「イメージ画像」なのです。

記事中には本物の写真へのリンクもありますが、その写真とAI画像を比べると、その違いは一目瞭然。AI画像の方が、くちばしは綺麗に整い、羽毛はよりフワフワ。明らかに「理想化」されています。

事実誤認を招く「リアルすぎる」AI画像

僕が問題にしたいのは、AI画像を使うことそのものではありません。著作権などの問題で、本物の写真を使えない事情は理解できます。しかし、写真と見分けがつかないほどリアルなAI画像を、あたかも「これが本物の白いキーウィです」と言わんばかりにトップに掲載するのは、果たしてメディアとして誠実な姿勢なのでしょうか。

これでは、多くの読者がAI画像を本物だと誤認してしまいます。特に、X(旧Twitter)などで記事がシェアされれば、画像下の小さな注釈は消え、この「美しすぎるキーウィ」のイメージだけが独り歩きしてしまうでしょう。

メディアに求められる編集方針

どうしてもイメージ画像を使うのであれば、いっそ誰もがフィクションだと分かるような、デフォルメされた「イラスト」にすべきだったのではないでしょうか。水彩画風でも、アニメ風でもいい。写真と誤認させるようなリアルなAI画像を使うのは、事実を正確に伝えるべき科学メディアの編集方針として、疑問を感じずにはいられません。

これは、AIの是非を問う話ではありません。

僕自身も、AIを創作に活用する一人として、その使い方には細心の注意を払っていきたいと、改めて襟を正す思いです。AIという強力なツールとどう向き合っていくべきか。今回の件は、社会全体で考えていくべき、非常に重要なテーマを投げかけていると思います。