イーロン・マスクの火星ロボットは「すぐ壊れる」かもしれない話


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです


テスラ社の人型ロボット「オプティマス」を、早ければ来年にも火星に送り込む――。イーロン・マスク氏のそんな壮大な計画に対し、あるロボット工学の専門家が「火星上で早急に機能停止する可能性が高い」と、否定的な見解を示しました。

「修理できない環境」という大きな壁

その学者が指摘するのは、火星という過酷な環境の特殊性です。

これまでも、NASAは宇宙ステーションに人型ロボットを送り込み、様々な実験を行ってきました。しかし、それはあくまで「人間が常にそばにいて、何かあれば修理できる」という環境下での話。

誰もいない火星で、もしロボットに不具合が生じたら、誰がそれを直すのか。地球から4億kmも離れた場所で、遠隔操作で修理することなど、現実的ではありません。信頼性において、まだ発展途上にある人型ロボットが、人間の付き添いなしで長期間活動するのは不可能だ、というのがその学者の主張です。

挑戦を萎縮させる「どうせ無理」という空気

この指摘は、技術的にはもっともなことかもしれません。しかし、僕はこうした「どうせ無理だ」という論調の記事に、正直なところ、少しうんざりしています。

新しいことに挑戦しようとすれば、必ずと言っていいほど、それを否定し、嘲笑する声が上がります。「あいつはバカだ」「金の無駄だ」と。特に、今回のように「専門家」や「大学教授」といった権威ある肩書きを持つ人物が否定的な意見を述べると、その声はより大きく聞こえてしまいます。

イーロン・マスク氏ほど突き抜けた人物であれば、そんな声は意にも介さないでしょう。しかし、その下で働く技術者や、これから新しい挑戦をしようとしている若い人々が、こうした否定的な空気に触れたらどう思うでしょうか。「自分のやっていることは、本当に正しいのだろうか」と、心が揺らいでしまうかもしれません。

失敗を乗り越えた先にしか、未来はない

そもそも、イーロン・マスク氏自身、最初からうまくいくなどとは微塵も思っていないはずです。彼のこれまでの宇宙開発の歴史は、ロケットの打ち上げ失敗と爆発の、まさに連続でした。その無数の失敗を乗り越えてきたからこそ、今のスペースXがあるのです。

オプティマスが火星にたどり着けるかどうかも分からない。たとえ着陸できたとしても、1日で通信が途絶えてしまうかもしれない。僕も、最初の一回目は、きっと失敗するだろうと思っています。

しかし、大切なのは、その失敗を恐れず、挑戦し続けることではないでしょうか。

僕は、もっと多くの挑戦が歓迎され、応援される世の中であってほしいと願っています。たとえそれが、無謀に見える夢物語だったとしても。その無数の挑戦と失敗の先にしか、私たちがまだ見ぬ新しい未来は、切り拓かれないのですから。