これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
「中国は、安くて良いものを作る国」 昔は「安かろう、悪かろう」でしたが、今やそのイメージは完全に過去のもの。 でも、「日本には、アニメやゲームといった、強力なIP(知的財産)があるから大丈夫だ」 ハードウェアの中国、ソフトウェアの日本。そんな風に、心のどこかで思っていませんか?
残念ながら、その考え方も、もう2010年代で終わりを告げたのかもしれません。 2020年代、中国のIPコンテンツは、僕らの想像を遥かに超えるスピードで、世界を席巻し始めているんです。
1兆円市場「ショートドラマ」と、秋葉原をジャックするゲーム会社
その象徴が、「ゲーム」と「ショートドラマ」です。
中国のゲーム会社「Yostar」が、秋葉原駅の中央改札を全面的に広告ジャックした、なんていう話もありました。(僕は初めて聞く名前でしたが、すごい勢いですよね)
そして、ここ数年で、中国で爆発的に盛り上がっているのが「ショートドラマ」。 その市場規模は、なんと1兆円。もはや、映画の経済規模をすら超えようとしています。
僕も、仕事柄、色々なところでこの「ショートドラマ」の話を耳にします。 口を開けばまずAI、そして次に口を開くとショートドラマ、というくらい、今のエンタメ業界の最重要キーワードの一つです。
その特徴は、
- 1話1〜2分の、スマートフォンに特化した「縦型動画」。
- 数秒ごとに必ず見せ場があり、毎回、強烈な「引き」で終わる。
この中毒性の高いフォーマットが、若者を中心に、爆発的な人気を集めているんです。
成功の秘訣は「アルゴリズム・ハック」。コンテンツ制作は、わずか1割
では、なぜ、彼らは、これほどまでにヒットを連発できるのか。 その秘密は、「アルゴリズム・ハック」と「マーケティング・ハック」にありました。
記事によると、彼らのコスト配分は、なんと、 「コンテンツ制作に1割、アルゴリズムの攻略に9割」 だというんです。
これ、すごくないですか? 僕のような、コンテンツ制作に10割の力を注いでしまうタイプの人間は、ダメだということなんでしょうね…。僕の性格では到底無理なので、こういうアルゴリズム攻略が得意な人と組むのが、一番いいんだろうな、といつも思います。
ユーザーが「退屈だ」と感じる、その一瞬をアルゴリズムで見つけ出し、そこに一番見栄えのいい広告を叩き込んで、課金へと引きずり込む。ユーザーの行動を徹底的に分析し、「中毒性」を生み出す。
開発やプロモーションに、年間300億円もの予算を投じるのも、当たり前。 その圧倒的な物量と、徹底したデータ戦略。これが、中華エンタメの、恐るべき強さの正体です。
次の目標は「ワンピース」や「ポケモン」。日本は、もう安泰ではない
そして、彼らが次に見据えているのが、「独自IPの創出」です。 『ワンピース』や『ポケモン』のような、世界中で愛されるコンテンツを、自分たちの手で生み出すこと。
昨年、中国では『魔道祖師』というアニメが、3500億円もの大ヒットを記録しました。 今はまだ、国内でのヒットが中心ですが、この熱が、世界に広がるのは、もはや時間の問題でしょう。
僕も、間接的にではありますが、中国のエンタメ市場に詳しい方々と話す機会があります。 そのお国柄や、特殊な市場環境も含めて、話を聞けば聞くほど、「ここは、間違いなく伸びる」と、確信させられます。そして、その伸びしろが、とてつもなく大きい。
AIという新しい武器を手に入れた彼らが、これからどんなモンスターコンテンツを生み出してくるのか。
日本が中国に進出するのは、様々な規制もあって、非常に難しい。 でも、中国のコンテンツが、日本に、そして世界にやってくるのは、もう誰にも止められない。
ゲーム、ショートドラマ、アニメ、そして音楽。 この中華エンタメの巨大な波に、僕ら日本のクリエイターは、どう向き合っていくべきなのか。
これはもう、他人事ではありません。 僕も、一人の作り手として、その動きを、注意深く見守っていきたいなと思います。