デジタルvs紙、子供の教科書はどうあるべき?


これはニュース読み配信の文字起こしをブログ化したものです

こんにちは。今回は、教育現場における「デジタル教科書」の導入と、それによって懸念される「学力低下」というニュースについて、私の視点からお話ししたいと思います。

デジタル教科書の本格導入と「北欧の失敗」

日本でも今年の4月から、デジタル教科書を正式な教科書として扱うようにルールが変更されました。
具体的には、「紙のみ」「紙とデジタルの組み合わせ(ハイブリッド)」「完全デジタル」の3つの形式から、各教育委員会が選択できるようになったそうです。文部科学省としては、一気に完全デジタル化するつもりはないとしていますが、大きな変化の第一歩であることは間違いありません。

ただ、ここで一つ興味深い、そして少し怖い話があります。
「デジタルの押し付けは学力低下を招く。北欧の失敗から学ぶべきだ」という指摘です。

IT先進国と言われるスウェーデンやフィンランドでは、日本よりもずっと早い2010年代から、国を挙げて教育のデジタル化を推進してきました。
しかし、いざデジタル教科書やタブレット学習を本格的に導入してみたところ、教育現場から次のような悲鳴が上がるようになったそうです。

「子供たちの集中力がもたない」
「思考力が深まらない」
「長文の読み書きが苦手な子供が増えた」

そして実際に、国際的な学力テストなどのデータでも学力の低下が見られ、現在スウェーデンなどでは「紙の教科書への回帰(デジタル化の見直し)」が始まっていると言われています。

もちろん、日本とスウェーデンでは教育システムや「教科書」の定義・使われ方が異なるため、この事例をそのまま日本に当てはめて「デジタルは悪だ」と断じるのは慎重になるべきです。どんな物事にもメリットとデメリットがあり、「紙が絶対に良い」「デジタルにすれば絶対にわかりやすくなる」と両極端に言い切ってしまうのは危険ですからね。

「書く」という行為が脳にもたらす効果

デジタル機器の利用時間が長いほど、学力テストの正答率が低くなったり、自分で考える力や読解力が低下したりするというデータがあるそうです。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
その大きな理由の一つとして、「手書き能力の低下」が挙げられています。

人間は、文字を手で書く(筆記する)過程で情報を整理し、脳に定着させています。しかし、デジタル機器を使ってキーボードでタイピングしたり、コピペ(コピー&ペースト)したりするだけでは、その重要な「脳内での整理プロセス」が省かれてしまうのです。

これには、私自身も強く頷ける部分があります。
私は今でもたまに、勉強のために人様のYouTube動画などを見ることがあるのですが、その時はもう「鬼のように」メモを取ります。後で自分が読めないくらいの走り書きになることもありますが(読めないのはダメですね笑)、とにかくひたすら手を動かして書くのです。

受験勉強や大学の講義でも、昔からひたすらノートに書いて覚えてきました。「時代が違う」と言われればそれまでかもしれませんが、ただボーッと話を聞いている時や画面を眺めている時と、「自分の手を動かして文字を書いている時」とでは、脳への入り方や理解の深さが全く違うと実感しています。

子供の教育における「紙」と「デジタル」の最適解とは

私が大学で学生に講義をする時も、あえてスカスカのPowerPoint資料を用意しています。
講義中に私がそこにどんどん情報を書き込んでいき、学生もそれにつられて自分の手でメモを書き込んでいく。この「話を聞きながら書く」という体験こそが、理解を深めるために非常に大事なプロセスだと思っています。

ただ、私が教えているのは18歳以上の大人(大学生)です。
「書くことが大事」なのは間違いないとして、それが「紙と鉛筆」でなければならないのか、それとも「タブレットとスタイラスペン」でも効果は同じなのか。ここは議論が分かれるところだと思います。

さらに難しいのは、これが「6歳〜8歳くらいの小学校低学年の子供たち」の話になった時です。
大人の学習と、まだ脳が発達段階にある子供の学習では、アプローチが全く異なります。私は小学生の子供が何を考えてどう学んでいるのかの専門家ではないので断言はできませんが、もしかすると、身体的な感覚をフルに使う「紙と鉛筆」のほうが、子供の脳の発達には適している部分があるのかもしれません。

日本でのデジタル教科書の導入はまだ始まったばかりです。
学校の先生方のご意見なども聞きながら、北欧の失敗を教訓にしつつ、「紙の良さ」と「デジタルの便利さ」をどう組み合わせていくのか、慎重に最適解を探っていってほしいなと思います。

今日は、デジタル教科書と学力低下に関するニュースについてお話しさせていただきました。
それでは、また次回お聴きください。さようなら。