ストーカーにGPS装着!?監視社会かプライバシー重視、どちらに進むか


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです

さて、今日は少しシビアなニュースがありました。「ストーカー加害者にGPS装着を義務付けることについて、自民党が政府に提言案をまとめた」というものです。
(※事実確認の補足:これは決定ではなく、あくまで自民党内の作業チームがまとめた「提言案」です。現在、法務省や警察庁などを交えて、GPS装着の法制化に向けた議論が進められています。)

与党である自民党からの提言ですから、反対意見も出にくく、将来的にはこの方向に進んでいく可能性が高いのではないかと思っています。

ストーカー対策の難しさとGPSの有効性

先日もストーカーによる痛ましい事件がありましたが、こうした犯罪は昔から存在し、警察が「接近禁止命令」を出しても、加害者が無視してやって来れば被害を防ぎきれないという致命的な問題がありました。

そこで「加害者にGPSを装着させる」というアイデアが出てきます。
もし、自分のストーカーが「最寄り駅を降りた」「半径2キロ以内に近づいた」という情報がスマホに「ピピピッ」と通知されたらどうでしょうか。
被害者にとっては、すぐに逃げたり警察を呼んだりできるため、ある種の「安心感」や強い防衛策になるのは間違いありません。

監視社会か、人権か。究極の二択

しかし、この問題には「人権」という難しいテーマが立ちはだかります。

「ストーカーや性犯罪者なのだから、24時間監視されて当然だろう」という意見は非常に多いですし、私もその気持ちはわかります。
一方で、「犯罪者(あるいは前科者や命令を受けた者)であっても基本的人権は保障されており、国家が24時間365日個人の居場所を強制的に監視し続けるのは行き過ぎではないか」という議論も当然あります。

これは、「お前はストーカーの味方をするのか!」という感情論ではなく、私たちが生きる社会が「どちらを優先するのか」という法治国家としての根本的な選択になります。
「監視を強めて犯罪を徹底的に防止する社会」を取るのか、「個人の自由や人権、プライバシーを最大限尊重し、国家による監視を制限する社会」を取るのか。
この究極の二択を、その時代を生きる私たち社会全体が決めていかなければならないのです。

「AI」が管理する監視社会の未来

私は以前からこのテーマについて、「いずれ日本も(あるいは世界的に)監視社会の方向へ進んでいくだろう」と予想しています。
その理由の一つは凶悪犯罪の増加(あるいはその体感治安の悪化)への対策ですが、最大の理由は「テクノロジーの進化」です。

例えば、街中に監視カメラを設置し、デジタルツイン(現実世界をデジタル上にリアルタイムで再現する技術)を構築したとします。「誰が今、新宿のどこを歩いているか」がすべてトラッキングできる社会です。
もしそうなれば、どんな殺人事件や犯罪が起きても、犯人がどう逃げたか一瞬でわかり、確実に逮捕できるようになります。犯罪の抑止力としてはこれ以上ないほど強力です。

しかし、「政府や警察の人間が、自分の居場所を常にチェックしている」と思うと、いくらやましいことがなくても気分が良いものではありませんよね。

そこで私が考えているのは、「人間ではなく『AI』が管理する監視社会」です。
すべての人の行動ログや位置情報は取得するけれど、人間の警察官がそれに自由にアクセスすることはできず、AIだけが監視を行う。
そして、「ストーカーが被害者の◯メートル以内に近づいた」「特定の場所で犯罪行動が予測される」といった『危険なトリガー』をAIが検知した時だけ、人間にアラートが行くようなシステムです。

これなら、「誰かに見られている」というプライバシー侵害の感覚(監視されている感)を少しは和らげつつ、安全な社会を担保できるのではないかと思うのです。少しディストピア(管理社会)的なSFの話に聞こえるかもしれませんが、AIの進化によってこうした社会が現実味を帯びてきています。

今回の自民党の「ストーカー加害者へのGPS装着提言」も、そういった『テクノロジーの力で安全な監視社会を作ろう』という大きな流れの一つの表れだと思います。

これが実際にどう法制化され、運用されていくのか。
私たち社会がテクノロジーと人権のバランスをどう取っていくのか、今後も注目していきたいと思います。

今日は、ストーカーへのGPS装着提言から考える、監視社会の未来についてお話ししました。