ネットの実名制は可能か?韓国の例で考える、誹謗中傷と実名制とインターネット文化


先日、韓国でf(x)のメンバーであるソルリさんが亡くなりました。

うつ病による自殺ということのようですが、その原因になったのがインターネットでの悪質な書き込みだそうです。

ネットの実名制は可能か

韓国のネット事情は間接的にしか知りませんが、韓国は世界の中でもインターネット先進国です。

それであるがゆえに優れたテクノロジーを活かせている部分もありつつも、それであるがゆえのいわゆるネットの闇もまた深いのが特徴です。

今回の自殺をきっかけ、韓国ではインターネットの実名制を求める声が高まっているそうです。なんと7割近くの人が賛成と最新の世論調査の結果にでています。

自殺を招く書き込み…実名制導入に賛成69.5% vs 反対24.0%=韓国(WoW!Korea) – Yahoo!ニュース

たしかに日本でも多くの誹謗中傷コメントはありますが、これが実名、顔写真付きだったらその大半の誹謗中傷コメントはなくなるかもしれませんね。

実は韓国は以前にもネットの実名制を導入したことがあります。

しかしそのときは、比較的すぐにその制度は撤廃されてしまいました。

というのも、インターネットというのは海外のサイトも普通に使うわけです。日本だって、Twitter、Facebook、YouTubeなど、海外のサイトを当たり前のように使います。

インターネットはワールドワイドに世界が広がっているため、一か国だけでクローズすることができず、結局のところ実名制といっても、そこまで浸透させられないのが現状といったところでしょう。

実名制は解決にならない?

その一方で、実名制がこういった誹謗中傷コメントを防ぐための解決法にならない、という考え方もあります。

意外なことですが、これも以前韓国で実名制を導入したときの経過で明らかになりました。なんと0.9%しか悪質なコメントが減らなかったそうです。韓国ですぐに撤廃された理由にも、この効果がなかったことが取り上げられます。

これには実は興味深い傾向が含まれています。

実はライトな悪質者はかなり減ったそうです。ですがヘビィな悪質者にとってはその影響はないようです。

実名制がコメント荒らしを解決できない、驚くほど確かな証拠 | TechCrunch Japan

ヘビィなやつは、実名だろうがなんだろうが、煽るやつは煽る、誹謗中傷をするやつはする、ということです。絶対数としては減っても、コメント総数としては変わらないということです。

逆に言えば、誹謗中傷コメントをしている人は数ほど人数はいないという見方もできるかもしれませんけどね。

モラルでは解決しない

まぁこうなってしまうと、やはりモラルで解決させるのは難しいのかなと思います。

韓国でもそうですが、日本でもこういうのはよくないと思っている人は増えています。100人のうち99人がそう思っていても、その一人が1000の確執なコメントを書き込みするわけで、とても難しい問題です。

日本では近年はそういった悪質な書き込みに対して逮捕されるケースもでてきました。

人間が動くのには限界がありますが、そのうちAIがオートで取り締まりをするような形にもなるかもしれません。

しかし、自由に発言をしたり表現をしたりできるのがインターネットの面白さでもあるので、それが不適切なのかどうかを警察や政府が行うというのは、それこそ弾圧につながりかねません。

最終的にはモラルで解決しないといけないところが、このネット文化の難しいジレンマでもあります。