QUESTIONより:インストア終了後のサイン対応はどうなのか、から考える現代社会のサービス問題


QUESTIONより

彩雨さんこんばんは!いつも楽しく摩天楼オペラの音楽を聴いています。 突然ですが、彩雨さんは病院や役所がカレンダー通りの稼働であることについてどう思われますか? 私個人としては、そのような施設こそ24時間365日開いていけなればならないのではないか、と常々考えています。 人はいつ怪我や病気をするかわからないし、手続きをしたくても学校や仕事と同じスケジューリングだからなかなかできない、といった場面にもよく出くわすので… p.s.coda神戸奈良大阪参戦します。楽しみです!


なるほど、たしかに病院や役所は平日昼間じゃないと空いてない場合は多いですね。銀行もそうですしね。まぁこれバンドマン的にはまったく不自由はないんですが、平日働いてらっしゃる方にとっては病院や役所に行くために半休とるのももったいないですよね。

役所に行かなくてもよければベスト

とはいえ、まぁコストの問題もあるでしょうし、役所を24時間開けろというも実際のところ難しいかもしれません。人件費、光熱費、いろいろかかりますからね。これは土日を開庁する難しさの理由でもあるでしょう。

役所に関しては、役所に行かなければならない機会をいかに減らせるかがサービス向上のカギでしょう。主要駅には役所の出張所もありますし、マイナンバーも何ができるのか不透明なやや中途半端感もありますが、もう少し活用してネットで手続きができるならネットで完結できるようになるのがベストだと思います。

病院は遅くまでやってほしいけど…

病院に関しては、たしかに遅くまでやってほしいものです。とはいえ、都市部の病院は最近はけっこう遅くまでやってますよね。デパートやショッピングセンターにくっついてる病院は施設の営業終了までやってるところもけっこうありますし、動物病院でも仕事帰りに行けるように遅くまでやってるところもあります。

まぁ病院で遅くまでやっているところは、ある程度お医者さんがたくさんいてシフトを回せるところだけでしょうけどね。

とはいえ、病院に関してはまぁ、自分の知らないところでいろいろあるんだと思いますよ。お医者さんの世界は、お医者さんの世界できっといろいろあることでしょう。いろいろ難しい世界でしょうからね。いろいろ…が多い文章になってしまいましたが、よくわからないのでぼかしてるだけです(笑)

お客様は神様なのか

これは企業でも行政でもそうなんですが、日本は度々、サービス過多なのではないかという話があります。配達業者の方も、何度も再配達してくれますね。お店でも、閉店時間がちょっと過ぎても物を売ってくれたりもします。

ちなみに、これは、良い、悪いの話をするわけじゃないです。

日本では「お客様は神様」という言葉があります。これは歌手である三波春夫氏の言葉がもととなっていますが、我々が思っているものとはニュアンスが大きく違います。三波春夫氏のホームページにご本人のコメントと共に掲載されていました。

「お客様は神様です」について

こんにちは、三波春夫でございます。日頃より、三波春夫の歌や著作を御愛顧頂きまして、まことにありがとうございます。

世の中にはさまざまな仕事がありますが、なんらかの形でお客さんからクレームが来ることも多いのではないでしょうか。実際、そういったクレームに頭を悩ませ胃を痛めている方もいるかとは思います。

日本のサービス過多は、もちろんユーザーとしてはとてもありがたいことなのですが、生産性を落とす側面もあります。配達業者の方も、同じ相手に3回も4回も家に行くのだったら、他の配達をした方が生産性がいいということです。いつか、この精神が日本の経済にとって大きな足かせになってしまうように思えます。ただ、この精神があるからこそ、日本がこの資本主義の世界の中で、500年後、1000年後に別の生き方を模索できるきっかけにもなるかもしれません。

繰り返しになりますが、良い悪いの話をしているわけじゃないのです。

バンドマンとサービス

バンドマンにとっても、サービスに関しては日々考えていかなくてはなりません。

例えばインストアイベントで終了後に来店された方がいる、というケースはどちらのバンドの方でも経験されることではないでしょうか。この辺りはバンドマン本人の考え方、事務所レーベルスタッフの考え方、店舗の考え方次第で対応の仕方が変わります。個人的には終了後でもそこにいるのであれば対応したいですし、片付けの最中でもサインをしたことがあります。しかし、これまでの経験上、店舗の都合で締め切らせてくれといわれたこともあります。独立型店舗でしたら融通が利くかもしれませんが、ショッピングモールに入っているとショッピングモールのルールもあるのでしょう。

さて、では例えばもう片付けてメイクも落として車で店舗を後にした段階でお客さんが来たという連絡があるとする。じゃあ店舗に戻るか、というと申し訳ないですが、これは戻らないでしょうね。

ライブでも、例えば交通機関に大きな乱れがあった場合、開演時間を遅らせることがあります。ただ、終了時刻が遅くなりすぎると帰れなくなる人もいるので、何時間も遅らせることはありません。また、例えばライブ終了後に到着した人がいたとして、その連絡を受けてじゃあもう1曲やるかというと、それはたぶんやらないでしょう。

こういうのはやはりケースバイケースなんですが、自分たちなりのホスピタリティのラインがあって、そこをケースバイケースで対応している感じです。ラインの取り方は、バンドや事務所によっても違うと思います。

インストアで終了時刻1分でも過ぎたら絶対に対応しない、というバンドマンの方もいるでしょうし、そういう方がいてもいいと思います。これも良い悪いの問題ではないと思いますね。こういうのはデリケートな問題で、終了後でも例外のように対応すれば、一部の方にとってみては不公平だと感じる方もいるかもしれません。考え方はそれぞれ、その中でうまいところに落とし込みながらやってる感じですかね。

サービスの問題、働き方の問題

日本のサービス過多はブラック企業ならぬブラック客を生む、というコラムを以前どこかで読んだことがあります。なるほど、たしかにそうかもしれません。先日、電車が20秒早く出発して電鉄会社が謝罪するというニュースがあり、それも話題になりました。

ブラック客なんて言葉もでてきましたが、摩天楼オペラは結成して10年。ありがたいことに、この音楽業界・ヴィジュアル系業界でこんなにもホワイト客ばかりな環境でやらせてもらってるバンドは他にないだろうというくらい、ファンに恵まれた状態で活動させていただいております。僕らは音楽以外まともな職にもついたこともなく、世の中の方が多く経験しているかもしれないブラック客でのストレスは感じたことがないため、ある意味とても世間知らずかもしれません。それであるがゆえに、もし気づかぬところで非礼がありましたらごめんなさいね。

さて現代社会に話を戻しますと、これから東京オリンピックとともに外国人が多く日本を訪れるようになります。社会全体としては、サービスに関してはその中でもう一度考える機会を与えられるでしょう。個人的にはこれについては世界に合わせることだけがいい事ではないと思っていますが、健全でないところは正していかなければなりません。

悪く言えばサービス過多、よく言えばおもてなし、今後社会全体としてどのようになっていくかはわかりませんが、こういうのをちゃんとみんなで考えていける社会じゃないと、妙なストレスばかりが増大するように思えます。みんなが健全に楽しく仕事ができ、楽しく暮らせる社会を望みます。