ワニの話、スルーしようかとも思ったんですが、雑感を残しておきます。
Twitterの面白さ
いたるところでTwitterが好きではないという話をしている自分ですが、それでもTwitterというのは面白いと思うできごともあり、このワニについてもその一つでした。
気軽に発信できることと、気軽に拡散できること、この二つの要素がうまく絡みあっていた印象もあります。また、コロナ騒動で多くのエンターテイメントに影響が出ているさなかでも継続したコンテンツとなっていたのもよかったですね。
そんなこんなで、自分も19時に作者のTwitterを楽しみに待っていた勢の一人でした。なかなか更新されなくてどうしたかなと思いましたが、100日間の完走、完結ということで、お疲れさまでした。
Twitterで世界のトレンドにもあがるなど、大きなインパクトがありましたね。
Twitterのくだらなさ
テレビでも大きく取り上げられ、たくさんの二次創作も生まれました。そんな二次創作へのバッシングなどもあり、Twitterって相変わらずTwitterだなと思っていました。
(個人的にはワヌの二次創作は好きでした)
さて、最終話が公開されたあとから、少し風向きが変わってきます。映画化やらグッズ化やら、いろんな話が一気に発表されたのでした。
最初から商業化かよ、ということでネットは少しザワザワしていましたが、裏に電通が絡んでいたのでは、といった怪情報の出回りから様子が変わってきます。
これは炎上しそうだな、と思ってその日は寝ましたが、自分の予測をはるかに上回る炎上っぷりでびっくりしました。そこまでやるかい。
何が気に入らなかったのか
少し整理してみましょう。
今回の騒動では二つの着火点がありました。
- 商業化ありきのコンテンツだったこと
- 電通が絡んでいたこと
順に考えていきましょう。
日本人は商業化が嫌い
「最終回直後に商業化が発表されて興醒めした」
今回は最終回の直後に急に話が大きくなった、というのを批判する人も多いですが、一番話題になってるタイミングで今後にまつわる重大発表するのは不思議なことではありません。
しかしそこで醒める人が多いというところで、日本人がいかに”商業化”が嫌いであるかということを思い知らされます。
日本人は商業について否定的な考えを持つ考え方があります。自分はこれについては、江戸時代の士農工商という考え方の影響が今でも残っているのではないかと思いますが、脱線しそうなのでやめときます。
もっとも、今でこそは作者の生活が~とかそういう意見もでてくるようになって、それは大変けっこうなことです。
昨年は芸人さんやアナ雪の漫画のステマツイートが大きな話題になりましたが、日本人はとにかくステマが嫌いです。商業ベースへの嫌悪感が潜在意識にあるからです。
とはいえ、作った商品やコンテンツの宣伝をTwitterでやる分にはなにも気になりませんよね。実はここがポイントで、本当は商業ベースが嫌いなのではなく、商業ベースじゃないものと思われていたものがが商業ベースになることが嫌なんです。
背景には、Twitterにあるコンテンツ(=ネットで発表したコンテンツ)はすべて無料であり、すべて公共物であり、すべて自然発生的な無垢なものという考え方があるのかなと思います。無料であるものを無料でみんなで楽しむ、という考え方はインターネット黎明期から存在しています。そんな公共物が実は公共のものではなかった、自分のものではなかった、という喪失感が嫌悪感へつながっているのでしょう。
今回の件について
「プロの作家なら、最初からクラファンとかで金を集めて単行本を作れよ」
みたいなことを平気で言えちゃう人がいるのも、こういったところでしょうね。
そういえばこの構図は同人作家さんが商業ベースの作品へ移る際にも似たようなことがありましたね。
日本人は電通が嫌い
これは特に最近でてきた話かと思いますが、なにやら電通へのイメージがよくないです。
以前あった過労死問題でイメージが悪くなったところもありますが、実際問題、多くのメガコンテンツに電通が絡むことが多いです。とはいえ、電通はBtoCの会社でもなく、いったいどんな仕事をしているのかよくわからない、というところが本音でしょう。よくわからないけど、なにか大きな影響力を持ってる、という意味での恐怖感もあるのかなと思います。
これは自分の好きなもの、さらに商業化の匂いもない無垢なものに対して何かよくわからない電通という力が加わっていることへの嫌悪感なのかなと思います。どこか、アイドルは黒髪処女じゃなきゃダメみたいなところにも通ずる、日本人独特の処女信仰にも似たようなものを感じます。
電通の過労死問題と死をテーマにしたワニの話を結び付ける批判もありますが、うーん、それはさすがにちょっと三段跳びすぎるなぁとは思いますけどね。
ちなみにワニの話については電通と絡んでないとわざわざ作者は言及しています。
100日後に死んだものは
今回の炎上は、コロナ騒動で話題が少なくなり叩く矛先が減った日本において、ちょうどいい標的になってしまったこともタイミングが悪かったのかもしれません。
100日間もTwitterでコンテンツをアップし続け、大きな話題になって、みんながドキドキして、フルボッコ、大炎上。作者は涙の釈明。(泣いた理由は別として)
この光景は正直いって、異様です。恐ろしいし、悲しいことです。
100日後に死んだのはワニではなく、ネットの未来です。日本の未来です。
このご時世に無料で閲覧できるコンテンツを100日も提供し続けてくれた人を世の中が叩く理由などありません。でも叩く。これが日本です。
でも安心していい
1980年代に、「一杯のかけそば」という話が大ブームになりました。ネットもない時代ですので、じわじわとブームになり、テレビでも大きく取り上げられ、たしか映画化もしたはずです。
実話をもとに~みたいなことで大ブレイクするのですが、実際は実話ではなかったとか、作者のスキャンダルも相まって、すさまじい掌返しで大炎上します。当時Twitterがあったらボコボコだったでしょうね。
そうです、日本はTwitterとかネット以前より、昔からそういう国なのです。
おわりに
今回は気持ちも強く入ったもので、その分いつもより強めに書きました。もちろんみんながみんな否定的な意見を言っているわけじゃないこともわかってますよ。
ワニ、お疲れさまでした。