ライブ文化を残すために今考えたい2つのことと、政府から僕らへの厳しいメッセージ


昨日、緊急事態宣言が解除されるという発表がありました。

予想通り5月で解除となりましたが、当初自分が予想していた5月いっぱいよりも前倒しでの解除になりましたね。

ライブハウス再開の可能性

解除後のアウトラインの中に、ライブハウスについて言及がありました。

自分の予想として「解除するけどライブハウスは引き続き自粛をお願いします」というどうにもならないものを覚悟していただけに、時期まで名言されて言及があったということは素直に喜びたいところです。

国会中継を見ていたこともあって、報道される前におそらく日本で一番最初にこのことをTwitterに書いたからか、思わずバズってびっくりしました。

ライブ再開は話は別

念のため勘違いをされないように言っておきますが、ライブハウス再開とライブ活動を再開するかどうかは、話は別なんです。

ライブ活動再開のためには、3つのハードルがあります。

これについては、今度ボイスアヤノ.メで紹介したいと思います。

最悪のシナリオと確実にくる第2波

新型コロナウイルスに関しては、まだ初めての出来事であり、この後どうなるかなどだれにもわかりません。季節性があるかどうかもわかりません。

しかし一般論として気温湿度の上昇とともに夏は収まり、残念ながら気温や湿度の変化に伴い、今年の秋、冬、来年の春あたりに第2波が来る可能性は極めて高いとみています。もう勘弁してもらいたいですが、こればかりはどうにもなりません。

そういった中、今ライブ活動を再開させるのは危ないから、冬まで待とう、というバンドも多いと思います。その中で第2波直撃で、でも冬まで待ったしもうこれ以上の延期は…ということでライブをやって、その後は…。

そうなると、来年以降はやっぱりライブハウスって危ないから、もうそもそもそういうライブ活動とか止めたほうがいいんじゃない?っていう世の中にゆるやかに変わっていく、というのが今の段階で自分が考える最悪のシナリオです。

スペイン風邪は第3波は夏にも来たという話もありますが、正直その先は読みにくいですね。ただ、こういったことは数年は続くと思われます。ワクチンや特効薬だって、本当に1年、2年でできる確証もないし、できたとしてもすぐ一般人が利用できるものかどうかわかりません。

もちろんコロナが落ち着くまでライブ活動はやめよう、とする考え方もあると思いますが、完全にコロナが落ち着くまで待つというのは、数年間ライブをやらないということを意味します。そこまで待った後、シーンは残っているのか、ライブハウスはあるのか、悩ましい問題です。

今のうちに考えたい2つのこと

2つあります。どちらも新しい仕組みづくりです。

一つは、波が来そうなときにライブ活動をすぐ止めることができるようにすること。

これはすべての業界スタッフ、バンドマン、お客さんが共通認識を持ち、これから何度かくるであろう波のタイミングで、ライブ活動をすぐに止めることができる準備が必要です。

心構えもそうですが、もう少し具体的に言えば契約上のお金周りのことです。誰かがお金周りで圧倒的な損をしないような新しいルールづくりをしておくことが大事です。

もう一つは、波が来ているときでも活動が継続できるような、新しいビジネスモデルを確立することです。

これはライブハウス側、バンドマン側、それだけではなくすべての関係業種全体での話です。今回のことでわかったことは、こういった未知の感染症にイベント業界はとにかく弱いということです。イベント開催以外の方法で持続可能なビジネスモデルを構築する必要があります。これは何が正解かわかりません、できるところから少しずつ始めていくことが大事です。

この第2波がくるまでのこの数ヶ月というのは、未来のライブ文化を継続できるかのラストチャンスと考えるべきです。

この間にライブ活動をしながら、次の波が来たときのシミュレーションをどれだけできるかが勝負です。第1波に学び、第2波がきたときにあれならできる、これならできない、と考え、対策し、準備するということが大事です。

逆にこの間にライブ活動をしなかった場合、繰り返しになりますが、秋、冬、来年の春あたりで第2波が来て、どのみちこの期間はライブ活動ができなくなります。そのため、この夏は貴重なチャンスであると考えています。

第2波がこなければ、来なかったでいい

第2波については煽り気味に書いていることを認めます。しかし上記の2点については、第2波が来なかったとしても経営上マイナスになることはありません。

例えば設備投資をしてライブハウスで配信や収録ができるようにしたとしても、それはライブと並行して配信も行えますし、ライブの中で新たなプラスアルファ要素ができた、ということだけです。しかも今なら補助金がでるとか?詳細は不明です。

バンドマン側のビジネスモデルについても、この春で配信を始めたバンドマンやアイドルは多いですが、じゃあ来月からみんな配信をやめるかというと、続けていく人も多いと思います。SNS利用や配信、そしてライブ活動と、バンドマンやアイドルの仕事に一つプラスアルファが加わっただけの話です。

行動変容とは、そういうことです。もちろん配信以外にも、いくつか手はあります。

現実は厳しい、裏メッセージ

新しい生活様式の中にライブ活動が含まれるかどうか、これは国が決めることではなく、業界の今からやる行動によって決まります。その裏メッセージを昨日の総理会見でみんなが読み取れたかどうかが重要です。

とはいえ、今置かれている状況はかなり厳しいものがあります。

というのも、このライブハウス再開という朗報は、裏を返せば悲報なんです。

国としては以前のようにやらないでくださいではなく、むしろやってどうぞ、のスタンスに変わりました。ここから先、それでもライブをやらないでライブハウスがつぶれたりアーティストが消えたりしても、それは正真正銘の自滅でしょ、だってやっていいって言ってるじゃん、となってしまう恐ろしさがあります。

国としてはむしろやってどうぞに変わったというのは、これ以上の補償はしないというメッセージでもあります。

このライブハウス再開は、この夏で万が一ライブハウスが感染拡大を生むきっかけになれば社会に叩かれ自滅、この夏を自粛して秋、冬まで待っても第2波がきて自滅、という壮大なチキンレースへ突入することになります。

ただこの前者については、たしかに屋形船やライブハウスがクラスター発生源となってしまいましたが、もし来月に濃厚接触者を追跡するアプリが登場するのであれば、実際はもっと多くの場所でクラスターが発生することがわかると思います。そうなれば、風当たりも少しは緩和されるかな、という淡い希望もありますが…どうでしょうか。

道はひとつしかなく、ガイドラインを国や地方自治体とコミュニケーションをとりながら早急に制定すること、万全の対策を期して夏に再開し、ライブハウスもアーティストもこの春の赤字を補填しながら、新しいビジネスモデルも並行して構築していくこと。第2波の予兆が来たらいち早く停止させ、速やかに別のビジネスモデルへ移行すること。そしてそれ以降もしばらくはその繰り返しです。

第2波以降がこなければこないで、引き続きしばらくは気をつけながらライブをしていくだけの話です。

おわりに

ちょっと長ったらしく、また、期待論と悲観論を織り交ぜてつらつらと書かせていただきました。

また、じゃあお前はなにやるんだ!というところもあるんですが、全くその通りで、こういった発信活動以外でも、自分のできることを考えていきたいなと思っています。

今までは黙って自粛をしていればよかった期間でしたが、6月からは以前よりお話ししている通り、次のフェーズに入ります。また、状況も日を追うごとに変わります。

常に最新情報を頭に入れながら、数年後に後悔しないよう、いろいろ考えていきたいなと思っています。