転生したら原始人だった件


今年はリモート講義で授業を行っているため、フィードバックも含めいつもよりも多く小課題を出すようにしています。

基本的に課題を出す際は、なにかを調べろとかそういうものは出さず、そもそも明解な答えのない問いに対して独自に考えさせるということを重視しています。

転生したら原始人だった件

先日、「転生したら原始人だった件」というタイトルでの課題を出しました。

課題はこんな感じです。

  • 転生したら原始時代に現代の記憶を持ったまま転生してしまった
  • 道具などは現代から持ち込めないが、記憶はある

そしてメインの課題は

「どうやったら頭の中にある音楽を後世まで残すことができるのか」

です。

みなさんもぜひ考えてみてください。

道筋はいくつかある

このときの講義のテーマが「音と情報」というものでした。

音は、情報として残しにくい性質があります。なぜなら音の本質は空気の振動であり、目に見えないもの、触れにくいものだからです。

自分が予想していた学生の回答として、2つの道筋があります。

1つ目は楽器を作り、まずそれを奏でることで残していくこと。

もう1つは楽譜を作り、音ではなく記号情報として音楽を残していくこと。

これはどちらも正解です。

原始時代において作ることができそうな楽器を考案したり、わかりやすい楽譜をどうやって記すか、それを他の原始人に説明するかを書いてくれた学生もいました。

音楽の役目

一番最初の講義で、現代社会における音楽の役目をいくつか紹介しています。

その中に、シグナルとしての音楽、宗教としての音楽という話をしました。

それを応用して、面白い着眼点で書いてくれた学生もいました。

例えば、朝の日の出とともに集落全員でこの音楽を歌うとか、狩猟に行った者たちが帰ってきたらこの音楽を歌うとか、特定の条件とともに音楽を位置づけるということです。

ただたんに頭の中にある音楽を他の原始人に伝えたところで、数年も経てば忘れてしまいますよね。

しかしこうして生活の中に、社会の中に意味のある儀式として残すことにより、それが後世まで残るという考え方です。

これは大正解です。よく自分の話を聞いていてくれていたなと感心しました(笑)

「音楽とテクノロジー」今季は半分ほど終了しました。まだまだ後半戦です。