女性天皇を認めるべきか、女系天皇を認めるべきか、この議論は今に始まったことではありません。
用語を整理しながら、今どういった問題点があるのかおさらいしてみましょう。
男子が生まれなかった天皇家
悠仁親王が2006年にお生まれになるまで、数十年にも渡って皇族で男子が生まれることはありませんでした。
男か女かなんてどうでもいいじゃないか、と一般家庭ならばそういう話になるのですが、ここが皇室の難しい位置づけのところ。法律で天皇になれるのは皇族の男系の男子のみ、と明記されているのです。法律でというと最近の話かと思われそうですが、昔からそうなんです。昔っていつだという話かとですが、2600年前?とにかく長いのです。
つまり、男子が生まれなければ次の天皇がいなくなってしまう、ということなのです。この問題は常にあったのです。
そのため、もし万が一跡継ぎがいなくなってしまうようなことがあった場合、いったいどのようにするべきかという議論は以前より行われていたのです。
選択肢は3つある
ではどうしたらいいのか、選択肢は3つ考えられます。(他にも方法あるかもですが)
1つ目は大正天皇が廃止した側室制度を復活させること。いわゆるお家存続を主な目的とするのであれば、それはもちろん多くの女性に子供を生んでもらうのは理にかなっていることで、昔は当たり前のように、日本だけではなく世界中で採用されていた方式です。しかし、近代化された現代で側室制度を復活させることは現実的ではありません。それこそ国民の理解を得られないでしょう。
もう一つが、よく議論される旧宮家を皇族に戻すことです。旧宮家では男系の男子はまだいます。
実は戦前はもっとたくさん皇族ファミリーっていたんです。GHQにより皇籍離脱させられたともいわれていますが、実際にはGHQにより皇室財産が国庫に帰属させられることになったことでお金が足りなくなって、多くの皇族に一般人になってもらった、ということなのかなと解釈しています。
旧宮家は皇族ではないので天皇になることはできません。このあたり法律をちょろっと変えて、皇族に戻してしまうということで解決しようということです。そのまま一家丸ごと皇族に戻すのか、養子なのか、やり方はいろいろありそうです。
問題点があるとすれば、天皇になるための教育を受けてこなかった人がいきなり天皇になれるのか、ということ。もう一つはいくら旧宮家とはいえ、国民に認知されていない人が天皇になっていいのか、ということですね。
女性天皇と女系天皇
もう一つの案が女系天皇です。男系男子というのを変えて、女系の子供も天皇になれることにしようという案です。現在は皇族に生まれた女性はご結婚されると民間人になるルールですが、このあたりもちょっと変えることになります。
先日も河野防衛大臣がどうにもならなかった場合、女系天皇を認めるべきでは、という話をして話題になっていました。また、男女平等の世界的な観点から日本でも女系天皇を認めるべきではないかという声も聞かれます。
さて、日本にはこれまで何人か女性天皇は存在しています。言葉が似ているので注意したいところですが、女性天皇と女系天皇は違います。これまでの日本の歴史で女系天皇が存在したことはなく、女系天皇を認めることに強い抵抗感を感じる保守層が多いのも事実です。
課題は多い
世界にはたくさんの国がありますが、日本の皇室が世界で最も長い王族と言われています。(諸説あります)
時代も変われば考え方も変わる中、ここまで維持し続けてきたのはものすごいことで、誇らしいことですね。明治維新後から、そして戦後から、時代の変化とともに天皇家と社会、そして国民との関わり合いは少しずつ変わってきています。上皇陛下の時代から明治維新後初めて民間出身の皇后陛下を迎えられるようになり、今では内親王殿下が民間の学習院以外の学校に入学されるなど、これまでなかった動きがでています。
その中で今後も100年、200年と制度を維持していくためには、やはり課題が多いわけです。これからどういうやり方を選んでも、やはり反発する人がでてくるかもしれません。
先程の旧宮家の話も、今ならまだ戦後数十年しか経ってないのでありえる話かもしれませんが、例えばこれが200年後の話だったらどうかというと、やや現実的ではありません。近代化された現代社会の中でどう皇室を維持していくか、いつか大きな決断をしなければならない日はくるのでしょうか。