QUESTIONより:その投げ銭に見合う価値はある?「配信疲れ」は今後起きる課題


QUESTIONより

彩雨さんこんにちは。配信されている方にこんなことを聞くのもなんですが、聞いて頂きたく思います。 配信文化が盛んになりつつある世の中ではありますが、いろんなバンドやアーティストが好きな私には最近どれも追えなくなってきました。仕事は在宅ではありません。残業もあったりします。画面すら見るのが物理的に辛くなることもあります。見なければいいと言われればそれまでですが、話がついていけなくなったり、聞きたい情報や話を逃してしまうのも辛いです。 生活が元に戻っても、コロナ以前のようなライブができるようになっても、配信はなくならないと仰っていましたが以前より増えたままなのでしょうか?


なるほど、まぁたしかに好きなコンテンツですと、聞きたい情報や話を逃してしまうのは辛いですね。とはいえ、いつやるのかわからない配信のために夜にいつくるかと通知を待ち続けるのも、仕事中であったりするのも、辛いですよね。

コロナは多くの生活を変えましたが、その中でどういったストレスがあるか、どういった戸惑いがあるかというのは、すべて次の時代へつながる大事な資料であり、教科書のようなものです。

質問者さんのその戸惑いは、必ず次世代の文化発展のために活かされ、次のライフスタイルを想像するヒントになります。

配信はなくならない

配信といっても、いろいろなものがあります。

コンサートやスポーツの中継のようなものもありますし、突発的にSNSを通じて気軽にやる配信もあります。無料のものやら有料のもの、アーカイブも残るものもあれば残らないものもあります。

それぞれ微妙に考え方も違うのでひとくくりにするのは難しいですが、個人的な予想としてはどの分野の配信もなくなりはしないと思っています。インターネット放送のメリットは、放送枠がなくても生中継ができるということです。テレビ放送、衛星放送だけでは、同時刻に行うスポーツをすべて中継などできませんし、マイナースポーツや学生スポーツなどがそういったテレビ放送ではなかなか行うことはできませんでした。しかし、インターネットがそれを可能にしています。

インターネットはこういった配信、放送と非常に相性のいいものなのです。

また、00年代あたりまではこういった生放送をするということにはすさまじい技術と機材が必要でしたが、2020年代ともなればもっと気楽に行うことができます。それこそ多くのバンドマンがなぜ自宅で配信できるかというと、その参入へのハードルがこの20年でぐっと下がっているからです。その理由には通信速度の改善、スマホなどの登場も挙げられますが、やはりここでもインターネットありきのものです。

ネットメディアも90年代は文字情報がメインでしたが、その後は画像、音声、動画と通信環境に合わせその主戦場も変わっていきます。動画まできたら次はなにがあるかというと、生配信です。

コロナのあるなしにかかわらず、世の中が生配信へと傾倒していく流れは変わりません。今回のコロナでちょっとスピード感が上がっただけの話なのかもしれません。

投げ銭に見合う価値

とはいいながらも、おそらく質問者さんの戸惑いや疲れはコンテンツ過多によるものでしょう。まさに「配信疲れ」と言えるかもしれません。

疲れるなら見なきゃいい、というのは考え方としては一つあるかもしれませんが、抜本的な解決にはなりません。

質問者さんがどなたの配信をご覧になられているかわかりませんが、あんまり話が面白くないのではありませんか。でもその方が好きなので、いつでてくるかわからない重要な情報を待たないといけない感じになってるのではないでしょうか。

配信というのは、相手の時間を奪うものです。配信者は視聴者の時間を奪う代わりに、何を提供できるのか、このギブアンドテイクが重要だと思っています。

配信疲れは、今後は配信を見る側だけではなく、やる側にもでてきます。しかしやる側にとってはいわゆる「投げ銭」をもらえるメリットがありますので、配信疲れは先に見る側から起きてくるでしょう。

さらにあえてちょっと嫌な感じにいいますが、みなさん配信者を甘やかしすぎではないでしょうか。その投げ銭に見合う価値を本当にみなさんに提供していますか。

とはいいながらも、自分もおかげさまでいわゆる「投げ銭」をいただいています。本当にありがとうございます。これからもそれに見合う価値のある情報をしっかりと共有させていただきと思っています。