日本もついにデジタル通貨(CBDC)について少しずつ検討段階に入っていきました。中国はすでにデジタル人民元の実証実験にまで到達していて、世界を一歩リードしています。
日本だけではなく、アメリカやヨーロッパもこのデジタル通貨について動きを見せ始めています。
前回は、デジタル通貨とSuicaはいったい何が違うのか、というお話をしました。
今回はデジタル通貨によって生活がどう変わるのか、どんな職業がなくなるのかを見ていきましょう。
デジタル通貨のメリット
デジタル通貨は、そのお金のやり取りをすべてデジタル通信で行います。ということは、履歴が残るということです。
デジタル通貨は、発行量が決まっています。これは普通の通貨もそうです。
例えば、現在日本国内に流通しているお金が10万円だとします。(そんなはずないけど)
ためしに全国民を一つの場所に集めて、現在の所持金をチェックしてみましょうか。そしたら不思議、10万円じゃありません。
どうして?
だって仕方ないじゃないですか、A君は10円玉を自動販売機の下に落としてしまったんですよ。あぁ、まぁそういこともありますよね。B君はタンスに100円をいれておいたんですが、入れていたことを忘れてしまったそうです。まぁそういうこともありますよね。
じゃあこれがデジタル通貨だったらどうでしょう?
試しに全国民を一つの場所に集めて、所持金チェックしてみましょう。そしたら10万円ピッタリなんです。そりゃそうですよね。コインをなくすことも、忘れることもありません。
なくすとかタンス預金とかならまだ可愛いものですが、例えば所得をどこかの金庫に隠して脱税したりなんてことも。国民のお金の流れを完璧に把握することで、不正なお金の流れがないかをチェックすることが可能になります。
監視社会じゃないか!!
と拒絶反応を起こす人もいるかもしれません。だけど、逆に実は税金を払い過ぎてました、みたいなことは絶対に起きないし、悪いことしている人からちゃんと税金を徴収することで、国としてももう少し税金下げてもいいかな?となるかもしれません。
まぁ考え方次第です。
なぜ中国はデジタル通貨に力をいれているのか
このデジタル通貨、先述の通り中国がリードしています。中国は以前よりキャッシュレス、ブロックチェーンの研究や開発、普及が盛んであり、一党独裁という政治システムもまた、こういった国を挙げての試みがやりやすいという事情もあります。
そんな中国がデジタル人民元の導入に燃えているのは、世界の基軸通貨として幅を利かせていきたいと考えているからとも言われています。現在、基軸通貨はドルですので、海外とのやり取りもドルを基準にやり取りをします。中国としては、これに人民元を食い込ませたいわけです。
中国は一部の東南アジアやアフリカでは相当すでに幅を利かせていますが、そういった国々とのやり取りも、今後はデジタル人民元を使うことになるでしょう。仲間が増えていけば、次第に…ということもあるかもしれません。
とはいえ、これだけで現在のドルに対抗できるかというと、ちょっと難しいかも?まぁ食い込めたらラッキー、くらいな感じで、まずは中国国内や中国とやり取りする国や海外企業のお金の流れまで把握できたらいいな、という感じなんじゃないかなぁと個人的に思っていますけどね
デジタル通貨でなくなる職業
職業、というと語弊はあります。その職業も、その仕事だけをしているわけじゃないですからね。ただ、大きく影響のありそうな職種をつらつらと思いつく限り書いていきたいですね。
一つ目は銀行。
デジタル通貨の管理は、そのデジタル通貨のアプリでやります。資産の管理はそのアプリでやります。
今は銀行にお金を預けていますよね。銀行にお金を預ける、という概念がなくなります。
実は日本人は比較的みんな銀行口座を持っていますが、海外ではスマホは持てるけど銀行口座は持ってない、っていう人も結構います。デジタル通貨の口座は、問答無用で生まれた瞬間にできるわけで、そもそも銀行口座という概念も必要なくなります。
次は税理士と経理。
お金の流れは全てシステムで把握されます。いつどこで何の出費をしたか、いくら給料が振り込まれたか、社会保険はいくら払ったか、全部把握されます。つまり、税金の計算は全部オートでやることになります。確定申告するとか、給料からいくら分の所得税を引くとか、そういうの全部オートです。
最後にクレジットカードをはじめとするキャッシュレスサービス。
デジタル通貨なんだから、もうどこかにチャージしてわざわざ架空のお金を作る必要はありません。スマホなりなんなりをかざせば決済完了です。こんなにたくさん登場したなんとかPayも全部なくなるんじゃないですかね。
ただクレジットカードについては信用取引の部分もあるので、借金できる魔法のカードということで残ったりして。わかんないけど。
お金の概念は変わる
ブロックチェーンで仮想通貨が登場しました。投機の側面が強い印象ですが、仮想通貨は革命的な技術です。
Facebookが本格的にリブラという仮想通貨のシステム開発に着手している中、国家もデジタル通貨へ動き出しています。どこが覇権を握るかはわかりませんが、この長らく続いた人間の歴史の中で、お金の概念が変わる瞬間が近づいていることは確かです。
僕らはおそらくその目撃者になり、その変換期を生きる非常にレアな体験をすることになります。デジタル通貨、今後の動きにも注目です。