日本は唯一の被爆国です。被爆国というのは、核兵器の直接的なダメージを受けた国、ということです。これが今後唯一になるかどうかはこれからの歴史次第ではありますが、いつまでも唯一であることを祈りたいものです。
アメリカをはじめ世界中でも当時は予想以上の攻撃力であることを十分に悟り、20世紀後半は核開発はするけど、さすがにビビってだれも核兵器を打ち込めないような状態になりました。
その後時代も流れ、もう核兵器を持ってにらみ合う時代でもないのでは、ということで、世界中で核兵器を持つのをやめよう、という話が核兵器禁止条約につながるわけです。
核兵器禁止条約とは
核兵器禁止条約とは、文字通り核兵器を持つのをやめようという国家間での取り決めです。実は今まではこういった条約はありませんでした。2017年に国会で採択され、50以上の国が批准をすればGOというもので、先日ようやく50を超えました。
来年の一月に発効される流れになります。
ちなみに、少し脱線しますがこういった国際条約にはこの流れに順番があるので、用語の解説などもしながら見ていきましょう。
まずは採択。条約案が無数にあるわけですが、それを国連でこれにしようぜ、って決めることです。
次は署名です。これは国が行います。この条約、いいね!っていう意思表示です。
次は批准です。これも国が行います。この条約、OKって国で話しまとまったよ!って意味です。しかし、この批准がけっこう大事で、多くの国が批准してくれないと条約も条約として形にならないのです。
批准してくれた国が増えたら発行、締結になります。今回の核兵器禁止条約も、ようやく数が増えて発行できることになりました。
核の傘
さて今回の核兵器禁止条約ですが、被爆国である日本も当然参加してるっしょ、って思う方も多いでしょうが、実は日本は参加していません。
こういった国際条約は参加しなければもちろんその効力は発揮されないので、参加してない国は核兵器を捨てることはありません。現在、核兵器を持っている国はすでにいくつかありますが、その国はもちろんどこも参加していませんね。
このあたりは非常に難しい駆け引きです。日本が世界を先導して核兵器撤廃に向けて動くべきだという考え方もありますが、日本はいわゆる核の傘に入っています。
核の傘というのは、文字通り核から守ってくれる傘といきたいところですが、実際に日本に核兵器が撃ち込まれたときにバリアのように守ってくれる機能ではありません。
世の中には核兵器を持ってない国のほうが圧倒的に多いんですが、実際に戦争になって核兵器を打ち込まれたら、それにかなう武器は他にありません。やられたらやられ放題というのが現状です。ですが、その代わり核兵器を持っている強い国がやられたらやり返す!をするよという話です。
日本の場合はアメリカの核の傘に入っている状態ですので、日本がどこかの国から核兵器を打たれたら、アメリカがやり返してくれるという話になっています。それが怖いからどこの国も日本に対して核兵器を打ってこないわけです。
日本がそういった関係性の中で国際社会の位置取りをしている以上、なかなか核兵器禁止条約に加わるわけにもいかないというところが、難しいところ。心の中では核兵器はよくないと思っていても、この位置取りの難しさと今後どうするかは、戦後日本の課題でしょうね。
答えのない問題
しかしこれ、やっぱりけっこう難しい問題なんです。
「うちは核兵器手放すから、あなたも手放してね。」
「わかりました手放します(口だけ)」
「あいつ、本当に手放したのかな?」
と疑心暗鬼になる国際社会よりも、お互いに核兵器持ってるぜ!と言い合うけど、お互いに打てないよね、って状態の方がある意味は平和な状態を保てる可能性もあります。現に、第二次世界大戦後は何度か危ないシーンもあったものの、どこの国も打ってないという事実もあります。
理想論はそりゃもちろんなくなることがいいですけどね。まぁ銃規制と同じような話でもあります。銃規制は個人の主義主張の中、持たない選択をして死んだら死んだで個人の責任であの世にいけます。しかし国としては、なにかあったとき国民の命を道連れにはできません。
個人的には現在の日本国の対応に関しては、現実的なギリギリの選択や対応をうまく立ち回っているように感じます。とはいえセンシティブな問題で、多くの意見がでていますね。