QUESTIONより:ANAやJALでは他業種へ出向も。出向はなんのためにあるのか


QUESTIONより

ドラマ半沢直樹で他の企業に出向を命じられる場面がありますが、出向というシステムのメリットデメリットはなんだと思いますか?


半沢直樹で出向というのにものすごくネガティブなイメージがつきましたが、まぁケースによってはいわゆる「都落ち」のようなものもあるでしょう。とはいえそういった側面ばかりでもないとは思いますけども。

出向とはなにか

出向とは、今いる組織を離れて別の場所で仕事をすることをいいます。退職して別の仕事をする場合は出向とはいわず、あくまでその組織に身を置きながら違う場所で仕事をしてこいと言われるケースが出向です。いつか元の会社にも戻ることができるかもしれません。

サッカーで言うところのレンタル移籍のようなものです。いや、わかりにくいか。

ただし転籍出向といって、もう所属も向こうになるからねという出向もあります。こうなってしまうともとの会社に戻ることができる可能性は少ないでしょう。

一般的に大きな組織でありなおかつグループ企業が多い銀行では、こういった出向のケースが多いです。しかし一般企業でも、グループ会社が多い組織ですと出向して別の会社に行くケースはちらほらあります。

また、他には公務員も出向が多いですね。中央官庁同士だけではなく、地方公務員、さらには公務員が民間企業に出向するケースもあります。

なぜ出向させるのか

出向の目的は、いわゆる半沢直樹のような左遷もまた一つあるでしょうね。最初は数年間はいわゆる出向扱いにして、あとでさよならする場合もあります。

ただ必ずしもこういった後ろ向きなことばかりではありません。関連企業が苦戦していて、そこを立て直すために優秀な社員を出向させるケースもありますし、若手の経験を積ませるという意味で出向させるケースもあります。

他にも人脈をつなぐ役目もありますし、出向というシステム自体は悪いことばかりでもありません。

現在、航空業界の出向がなにかと話題になっています。優秀な人材が多くいるわけですが、残念ながらコロナで航空業界が大きなダメージを負ってしまいました。こうなってくると、この人材を活かす道を模索しなければなりません。

他の航空関連の企業へ出向できればいいですが、残念ながらどこもダメージを負っています。別の業種へ行くしかありません。

ANAはトヨタ、パソナ、成城石井、ノジマなど多くの業種へ出向させるのではないかという話があります。同様にJALはヤマトホールディングスという報道もありました。社員としては苦しいところでしょうが、それだけの大変な出来事が今この時代に起きているということですね。仕事を与えられるだけありがたい、と考えることができるかどうか。

個人的には出向はトータルで考えるとメリットが大きいかなとも思いますが、まぁあえてデメリットをいうのであれば、社員の気持ち的なところじゃないですかね。環境も変わるし、場合によっては住まいも変わります。その中でモチベーションを維持しやっていけるようにできるか、ということですかね。同様に受け入れる側も、現場では変化もあるでしょう。この苦しい現状の中で、できるだけいい方向へ働いてくれればいいのですが。

バンドマンの出向

余談ですがバンドマン個人としては、バンド間で出向というケースは聞きませんね。ただ出向とは少し違うけど、SUGIZOさんはX JAPANのプロジェクトが稼働しているときはLUNA SEAと掛け持ちしている状態になりますし、当たり前ですが同日に別の場所でライブや撮影などはできませんし、バンドの所属という概念もこういったケースのように柔軟になっていきそうですね。

アイドルの場合で考えると、以前指原さんがHKT48に移った流れも、まぁ違うんですけど系列グループ内の移動ということで、ある意味の出向にも似たような考え方もあるかもしれません。

音楽業界では、よくマネージャーとかは出向するケースもあります。事務所が期間限定でアーティストやプロジェクトを抱えた場合、そのピンポイントの時期だけ人員を増やすことが必要になるからです。

新規で期間限定で雇用するよりも、経験のある人を確実に招き入れることができますし、会社同士のコネクションも強化できますし、企業としては必要なシステムかなとも思います。