楽天か、PayPayか。2021年に様子が変わり始めた経済圏戦争


春になり、いくつか変わったことがあります。

ジャパンネット銀行はPayPay銀行に名前を変え、楽天モバイルは1年間無料のサービスは終わったものの、次は3ヶ月無料のキャンペーンを打ち出しました。

この関係なさそうなニュースですが、大きく関係しています。

経済圏戦争、2021年で様子が変わる

昔から何度かこの、経済圏の話をしています。

最終的にいくつかの経済圏ができ、多くの人はそのどれかに属し生活をするようになる、というものです。

キャッシュレスが盛り上がり、こういった覇権争いが生まれた初期の頃は、多くのサービスが乱立していました。

これは、自分たちのところが将来的な経済圏として生き残るためです。後発では、よほどのミラクルがないと食い込むことができません。こういうのは先行者有意があります。

そのため、各社かなり本気で望んでいました。その中でも一歩前に出たのは楽天、PayPay、LINE Payかなという印象もありましたが、LINEがソフトバンクの一派に参入することが発表されたので、事実上ソフトバンク系か楽天かという形に落ち着きそうです。

ソフトバンク系は、自身の金融サービスにPayPayの冠をつけることを発表しています。今回のPayPay銀行についてもそうで、同じ経済圏のグループだということを全面に押し出したいという思惑があります。ある意味では、ソフトバンク系が最後の仕上げに取り掛かっているともいえます。

もしこのツートップに将来的に食い込みたいのであれば、今新しいサービスを始めていないともう遅いです。現在そういった動きは他社に見られませんので、この黎明期ならではの戦国時代はこの2021年で終わるということになりそうです。

昔だったらテレビ局

こういった経済圏を考える上で、必要なのは情報です。情報の根っこを抑えてしまうことで、ユーザーをコントロールすることができます。

90年代から00年代なかばくらいまでだと、今後世の中を征するために必要な業種の一つに、テレビ局がありました。

なぜテレビ局を抑えたいのかという理由も、まさにこれです。

その昔はソフトバンクはテレビ朝日へ、楽天はTBSへ、当時かなり力をつけていたライブドアもフジテレビ系を買収する画策もあり、大きく話題になっていました。

サイバーエージェントもAbemaTVにかなりの力を入れていますが、これは別の形でのメディアへの進出を目指している形で、本質的には近いところもあります。

いわゆるifエンドというやつで、00年代にソフトバンク、楽天、ライブドアがそれぞれテレビ局買収に成功し、このスマホ登場からの荒波を日本がどのように切り抜けていたのかなんていうドラマとかあったら面白そう。

現在は通信事業

しかし今は2020年代。必要な業種はテレビ局から、通信事業に移りました。

もっとも各社それには最初からかなり敏感で、ソフトバンクは早々と通信メディア業に着手していました。通信会社もさっと買収し、今ではソフトバンクをスマホの会社だと思っている人のほうが多いかもしれませんね。

さらに国内最大のメッセンジャーアプリであるLINEを傘下におさめました。通信インフラも通信サービスも抑えたというのは、かなり大きいです。

楽天もこの通信事業への傘下をかねてより模索していたものの、通信事業はやりたくてもできるものではありません。免許も設備も必要だからです。そういう意味でソフトバンクは、すでに免許や設備を持っている会社を買収することで参入しました。しかし日本は電電公社を祖とするDoCoMoと第二電電を祖とするauの巨大通信事業が君臨する中、さすがにそれらを買収する体力はありません。

総務省がうまくやる気を出してくれて、新規参入という形でこの3社と戦える環境が整いました。今は郵政も味方につけて巨額投資を通信事業にぶつけています。

楽天はなぜ無料でこんなにやるのか、と疑問を持つ人もいることでしょう。また、楽天モバイルが赤字の源なので、楽天は楽天モバイルを早々に諦めるべきという論評もちらほらでてくるようになりました。

楽天としては、この通信事業は赤字でもしっかり抑えて、ソフトバンク系と戦える準備を整えたいところでしょうね。楽天がどれだけ通信事業を伸ばせるかが、この20年代のひとつの鍵になるでしょうね。

それと、この楽天、ソフトバンク系に食い込むことができる第三勢力が登場するかどうかにも注目しています。今の所まったく思いつきませんが、今日明日あたりにアパートの一室で始まったサービスが10年後にすごいことになってるみたいな、ITドリームにも期待したいところです。