時代はロスレス配信へ!その1「音楽好きでも意外と知らないMP3とロスレスの違い」


近年、音楽配信はロスレスブームです。

今回は音楽配信の音質の話ですが、スペックや規格といった数値、文字情報での音質云々より、結局は最終的にはパッと聞いたときどうか、ということが重要です。

素晴らしい音楽は何で聴いてもいい音楽です。

しかしどうしてもこういったスペック、数値などが表に出てしまうわけで、そういった情報に惑わされてしまう人も多いです。

という前置きの話をしたところで、本題にいきましょう。

第1回は、デジタル音楽とはそもそもなにか。第2回は、ロスレス配信ブームとその注意点です。

デジタル音楽のおさらい

デジタル音楽は、一般的にはフォーマットは決まっています。

WAVデータ、44.1kHz、16ビット、というのが基本的な書き出しの規格です。

別にこれじゃなくてもいいんですけども。

44.1kHz、16ビットの形式が主流になったのは、CDの規格がこれだからです。

CDがこの形式を採用した理由は、人間が音楽を聴くのに十分必要な帯域、音質をカバーしているからという説が一般的です。俗説では、ベートーベンの交響曲第9番を最初から最後までCD一枚に収めるためにこれにしたという話もあります。

WAVデータが主流になったのは、Windowsが最初に普及したからかもしれません。WindowsはWAVの仕組みをつくったのがMicrosoftということで、これを標準サポートしていましたからね。

一方でMacはaiffという形式のファイルをサポートしています。マニアックな方は見たことのある音楽ファイルだと思います。

さらにマニアックな人はauというファイル形式を見たことがあると思います。しかしこちらはミュージシャンの間でも、コンピュータ技術者の中でも、かなりマイナーな部類です。

wav、aiffのような音楽データは、非圧縮音源といいます。圧縮していないということです。

そのため、製作者の意図通りに再生されます。いわば原音です。

音楽の圧縮、とはなにか

その一方で、圧縮音源というものがあります。

MP3などがそれにあたります。容量を減らす代わりに、音質も削るというものです。

しかしこのMP3も、出始めた頃よりもかなり品質が上がりました。同じ容量でも、今の方が20年前のものより、圧倒的に高音質で圧縮できます。技術の進歩はすごいですね。

一度MP3など圧縮音源にしてしまうと、元の非圧縮音源の音質に戻せません。そのため、「非可逆圧縮」という言い方もします。

MP3の功罪ということで、MP3が登場した結果、悪い音質の音楽に溢れ、音楽がダメになった、という考え方もあります。また、ネットにより違法コピーが広がったのも、MP3が登場したことによります。

その一方で、MP3が普及し、ネットの台頭ともに音楽が新しい扉を開けたという考え方もあります。自分は完全に後者の人間ですが、まぁ考え方はいろいろです。

MP3の功績については拙著「ITの音楽史」にてがっつり触れていますので、興味ある方はぜひご一読ください。

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ロスレスとはなにか

それとは別に「可逆圧縮」の音源も存在します。

容量は減らせますが、音質は非圧縮音源のものと同等であり、さらに元の非圧縮音源のデータにも戻せますよ、という便利なものです。

もちろん圧縮音源ほど容量を減らせないのが難点ですけども。

こういったデータのことを、ロスがない音源ということで、ロスレス音源という言い方をします。

音楽関連に興味のある方は「FLAC」という拡張子を見たことがある人もいるかもしれませんが、これも有名なロスレス音源データです。他に有名なのはApple Loslessですね。ALACとも呼ばれます。ただ拡張子はm4aとなっており、なんのデータかわかりにくいんですよね。

ちなみに「Monkey’s Audio」といって、apeという拡張子のロスレスもあります。これを知っている人はそこそこマニアックです。

ロスレスは本当にロスレスなのか

余談ですが、このロスレス音源の音質について。

技術的にはロスがないということで、非圧縮音源と同等になっているはずではあります。

しかし、音質が下がっていると主張する人もいます。

どうでしょうか。どうなんでしょうか。

自分はそんな高尚な聴覚を持っていないため、ブラインドテストしてもわからないかもしれません。

ですが。

圧縮の仕組みをさらに追及すると、たしかにデータ上の音質は同じであっても、データを再生するやり方が違います。デジタルデータを音に変える過程に差があるのです。そう考えると、流れる音がまったく同じ音質かと言われると、違うかもしれません。

しかし、おそらく自分にそれを聞き分けることはできないです。

次回、ロスレス配信について

今回は音楽用語の解説でした。

次回は最近話題のロスレス配信についてと、その注意点の話です。

やっぱりロスレスは音がいいねーみたいなことを知ったかぶりでいうと、赤っ恥を書きますよ。気になる人は次回ブログを必ず読みましょう!