今日7月7日より施行される侮辱罪の厳罰化。
SNS時代において、誰もが関係している法律です。
これを機におさらいしてみましょう。
侮辱罪厳罰化で何が変わるのか
ここ数年、インターネットの誹謗中傷が大きな問題になっています。
誹謗中傷自体はこれまでも存在していましたが、これまではネットなんでそんなもんだろうと流されていました。
しかしSNS時代において、その誹謗中傷は本人に直接届くようになり、心へのダメージは以前に比べて大きくなります。
また、ネットを通じての情報がこれまで以上に強くなり、ネットからの風評被害も以前よりも大きくなっています。
これまでの侮辱罪は、ぶっちゃけそこまで重い罪ではありませんでした。
木村花さんの事件においても、その投稿者は略式起訴で9000円の罰金とのこと。
あまりにも軽すぎるのではないかと問題になりました。
「侮辱罪」厳罰化施行 適用対象はきょう以降の行為から(日テレNEWS) – Yahoo!ニュース
こちらの記事によると「侮辱罪の法定刑はこれまで刑法の中で最も軽く、30日未満の拘留、または1万円未満の科料と規定されていましたが、7日施行の改正刑法で、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金が追加されました。」とあります。
侮辱とはなんなのか
何をすると侮辱罪になるのでしょうか。
法務省のホームページには
侮辱罪は、事実を摘示せずに、「公然と人を侮辱した」ことが要件になっています。具体的には、事実を摘示せずに、不特定又は多数の人が認識できる状態で、他人に対する軽蔑の表示を行うと、侮辱罪の要件に当たることになります。
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html#Q2
とあります。
おそらく日記に「馬鹿」とか書いても侮辱罪にはあたらないのだと思います。
「事実を摘示せず」というのも少し引っかかる表現ではあります。
例えば不祥事を起こした有名人は侮辱罪にあたるような言葉を多く浴びるわけですが、 「不祥事という事実を摘示」していれば侮辱してもOKということなのでしょうか。
具体的にどのような表現がそれにあたるのかは裁判で決まるわけですが、過去の事例も法務省に記載されていました。
インターネットサイトの被害法人に関する口コミ掲示板に,
「詐欺不動産」,「対応が最悪の不動産屋。頭の悪い詐欺師
みたいな人。」などと掲載したもの。インターネット上の掲示板に「とうとうYouTubeのコ
https://www.moj.go.jp/content/001375709.pdf
メントは頭おかしくなった 本人がアカウント何個も作って
自作自演乙w アホ丸出しで長文タラタラ。読んでも気持ち
悪さが勝って なんちゃ理解出来んわw 親子共々,精神が
幼すぎ。子供が可哀想や」,「○○(被害者名)も昔は若
かったけど,もう40前のええ歳した大人やろ?周りから痛
い目で見られてるん気付かんかい。」など
なんかこういうの、いっぱいありそうですけどね。
表現の自由や政治的批判については
侮辱罪厳罰化でよく言われるのが、政治的な批判がされにくくなるのではないか、ということです。
法務省のページにはこれについても記載があります。
「侮辱罪の要件に当たったとしても、公正な論評といった正当な表現行為については、刑法35条の正当行為として処罰されません。」
とありますが、正当な表現行為であれば問題ないということ。しかしネット上で見かける政治家へのバッシングは、それにあたるのかどうかは謎です。
表現の自由について、今回の法改正は範囲は変わらないということを強調して法務省のページにはありますが、侮辱罪そのものが表現の自由についてどうなのかというところはボカシてある印象がありました。
(4) 侮辱罪の法定刑の引上げについて議論が行われた法制審議会においても、警察・検察の委員から、
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html#Q7
○ これまでも、捜査・訴追について、表現の自由に配慮しつつ対応してきたところであり、この点については、今般の法定刑の引上げにより変わることはない
との考え方が示されたところです
まぁ表現の自由と誹謗中傷の相反関係については、なかなか難しいですよね。モラルで解決するしかないです。