QUESTIONより
こんばんは。 私は昔からの習慣でいまだにCDを買って音楽を聴いています。 再生するのはパソコンなんですけど。 それで、CDを買うと初回盤とかに付く特典ってありますよね。 映像だったり写真集だったり色々ありますが、 予算やスケジュールなどに関わらずどんなものでもOKです、 となったら、どんな特典にしたいですか? よろしくお願いいたします。
90年代はCDに特典などありませんでしたが、00年代あたりからちょこちょこと特典がつくようになりましたね。
気づいてると思うけど、特典はお金がかかる
彩雨さんは音楽を仕事にするようになったあたりからはもう特典は当たり前の時代でした。いろいろな特典を付けてきましたよ。握手会なんてものはもう当たり前で、特典として別で曲を作ってCDをつけたり、Tシャツを付けたり…という感じです。
握手会なんてタダでできるだろ?働けよ!!
なんて思う人もいるかもしれません。しかし東京以外でしたら移動費もかかりますし、店舗以外の場所でやる場合でしたら、その会場費も必要になります。関わるスタッフの方もそちらに動員されるわけでその日はその業務にかかりきりになります。
もちろんですが、何かを付けるというのは、その製作費がかかります。
場合によっては店舗がその製作費を負担する場合もあります。もちろん、レコード会社が負担する場合もあります。このあたり、少し掘り下げてみましょう。
価格競争から免れたCD
なぜCDは特典が注目されるのでしょうか。
この資本主義の世の中で、どのように小売店が多店舗との競争をしているかというと、ずばり価格競争です。家電でも、多くの店舗が価格競争をしています。他店より一円でも高ければ…なんて謳い文句もありますからね。
独占禁止法によって、物の値段はメーカーが決めてはいけないという決まりがあります。そのため、メーカーは小売希望価格というあいまいな言い方をしています。
しかし、再販制度(再販売価格維持制度)というものがあります。新聞、書籍、雑誌、レコード、音楽CD、音楽テープに関しては値段をメーカーが決めてよく、さらにその金額で売らないといけないという決まりがあるのです。激しい価格競争によって値段が下がり、それらの文化が失われないようにするための保護策となっているのです。
ちなみにですが、ライカエジソンで買ってもタワレコで買ってもAmazonで買っても、CDは物質的にはまったく同じものです。なんの差もありません。値段も一緒です。ではどうやって自分の店舗で買ってもらうか、そのために特典を付けるという発想になるわけです。
ちなみにAmazonは多店舗より安く売ってます。これが独占禁止法違反となる可能性もあり、ちょっと問題になっています。今後どうなるか注目しているところです。
特典というとレコード会社がCD売るために握手券を売ってるんだろ!みたいな話もあります。CD特典にはレコード会社がつけるものと、販売店がつけるものの二種類があるわけですね。そのあたり、ちょっとごっちゃになってますけどね。
では、どんな特典がいいのか
さて、ここで予算も製作期間も関係なしに、どんな特典でもOKですよ、という質問者さんのお話に戻ります。
これはいいですね。なんでもできちゃいますね。
CD特典で1カラットのダイヤモンドがついてくる!!とかできちゃいますね。例えばCDデッキに摩天楼オペラのCDが入っている高級車なんてこともできちゃいますね。
しかし、これがまた本末転倒なわけなのです。つまるところ、特典を考えてると、なんかむなしい気持ちになってくるものです。
このあたりけっこうシビアは話でもあります。このブログや講義でも同じようなことを何度か言っていますが、彩雨さんは俗にいう「握手会ビジネス」というやつについて、一貫して賛成の立場をとっています。ミュージシャンはライブもあるので実際に見られるチャンスは多いかもしれませんが、例えば小説家とか漫画家の方なんかは実際に本物を見られる機会はありませんよね。買ってくれた方がこういった著作者の方と会ってサインをもらえるなんて、最高の機会じゃないですか。
クリエイターの方でも、実際にその作品を愛してくれる人から直接言葉をもらえるというのは、これ以上のない喜びなのです。それがまた、次の作品を作るモチベーションとなるのです。
ちょっと規模が大きくなるとそこに批判的な意見が集まりがちですが、基本的な構造には全く問題はないといいますか、むしろなんでもネットで解決できる時代で、こうして実際に会って感想を聞ける、感想を言えるシステムは素晴らしいものです。
なので、予算関係なしにどんな特典でもOKなのであれば、買った人が東京でのインストアイベントに全員来られるための旅費とホテル代&仕事を休む上での補償金がいいですね。