300万円かけて整形、その先にあった”世の中の理不尽”とは


これはニュース読み配信の文字起こしをブログ化したものです。

私たちは「中身が大切」と口にしますが、現実社会では外見が大きな影響力を持つことも否定できません。300万円をかけて韓国で全顔整形を行った男性のインタビューを通じて、ルッキズムの実態と整形手術がもたらす影響について考えてみましょう。

社会の理不尽さと自己改善

この男性が整形を決意したきっかけは、大学入学後に感じた周囲との扱いの差でした。同等の努力をしているにもかかわらず、容姿によって対応が異なることへの理不尽さを強く感じたのです。

彼は「ルッキズム社会を変えるより自身を変えた方が手っ取り早く生きやすくなる」と考え、整形手術を選択しました。特定の部位にコンプレックスがあったわけではなく、「不要な容姿を排除した」結果、全顔整形に至ったといいます。

この決断は、社会の現実と個人の幸福追求の狭間で生まれた一つの解決策と言えるでしょう。しかし同時に、外見至上主義の問題点も浮き彫りにしています。

自信と周囲の反応

整形後、彼の生活にはいくつかの変化が現れました。最も顕著なのは、周囲の対応の変化です。以前は「性格が悪そう」といったマイナスの印象を持たれることが多かったそうですが、それがなくなったと言います。

また、自身の顔を気にする回数も大幅に減少しました。整形前は1日に何十回も自撮りや鏡をチェックしていたそうですが、現在はそれほど気にならなくなったとのことです。

しかし、完全な満足には至っていないようです。現在の容姿の満足度は85点と答え、「元から顔が整った人と比べるとやはり及ばない」と感じることもあるそうです。

ルッキズムの根深さと社会の課題

このインタビューは、私たちの社会に深く根付いたルッキズムの実態を浮き彫りにしています。インタビュイーは「人間を含む生物は第一印象、容姿から感じ取ることは不変の事実」と述べています。

確かに、多様性を尊重し、外見で人を判断しないことの重要性は広く認識されつつあります。しかし、無意識のうちに美しい人を好意的に扱ってしまう傾向は、多くの人々に共通して見られるものです。

例えば、接客業での採用や、初対面の人とのコミュニケーションにおいて、容姿が与える影響は無視できません。これは個人の努力だけでは解決しがたい、社会全体の課題と言えるでしょう。

結びに、この事例は整形手術の是非を問うものではありません。むしろ、私たちの社会に深く根付いたルッキズムの実態と、それが個人に与える影響の大きさを示しています。

外見による差別をなくし、真の多様性を尊重する社会を築くには、一人一人が自身の無意識の偏見に向き合い、それを克服していく努力が必要です。同時に、容姿以外の価値を積極的に評価し、伝えていく社会システムの構築も求められるでしょう。

ルッキズムの問題は、LGBTQの権利問題以上に根が深いかもしれません。しかし、この問題に正面から向き合い、議論を重ねていくことが、より公平で包摂的な社会への第一歩となるのではないでしょうか。