これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。
デジタル音楽の黎明期から40年以上が経過した今でも、CDは主要な音楽メディアとして使われ続けています。1999年に登場したDVD-Audioは、理論上CDをはるかに超える音質を実現できる革新的なフォーマットでしたが、市場での普及には至りませんでした。その背景には、いくつかの興味深い要因が隠されています。
メディアフォーマットの混乱
DVD-Audioの普及を妨げた大きな要因の一つは、再生機器の互換性の問題でした。当時、DVDプレーヤーの主流となったプレイステーション2でDVD-Audioが再生できるのかどうかが不明確で、消費者の混乱を招きました。また、同時期に登場したSACDとの規格争いも、市場の分断を引き起こす結果となりました。
デジタル配信時代の到来
DVD-AudioやSACDが市場に登場した頃、音楽業界はiPodに代表されるデジタル配信への移行期を迎えていました。物理メディアを必要としないデジタル配信は、高音質データの配布をより簡便にし、新しい物理メディアの必要性を低下させました。
CD規格の十分な品質
CDの基本スペックである44.1kHz/16bitという規格は、人間の聴覚特性を考慮すると、実は十分な品質を持っていました。音楽制作の現場では、より高品質な形式で録音・編集を行った後にCD規格に変換していますが、その違いを正確に聞き分けることは、熟練のエンジニアでさえ難しいとされています。このことは、より高音質なフォーマットの必要性そのものに疑問を投げかけることとなりました。