これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです
イギリスの調査で世界の音楽定額配信の契約者数におけるシェアが発表されましたよ。これは世界全体の話なので、日本のLINE MUSICとか「泡」といったサービスはこの中には入ってないんですよね。
このグラフを見ると、1位はやっぱりSpotifyで32%。2位は中国のテンセントが運営している音楽サービスで15%。テンセントはおそらく中国市場をほとんど独占してるんじゃないかな。3位がApple Musicで12%、でもシェアが低下してるみたいです。4位はAmazon Musicで、こちらもシェアが低下。一方で5位のYouTube Musicは10%で、シェアを拡大しているんです。残りの「その他」が21%という形になってます。ちなみに僕は「泡」を使ってるから、その他の部分に入っちゃいますね。
Apple MusicとAmazon Musicは順位は維持したものの、新規加入者数は600万人にとどまったそうです。対して、YouTube Musicはシェアを拡大していて、特にインドを含む「グローバルサウス」と呼ばれる新興市場ではトップになってるんですよ。すごいですね。
なぜ契約者数は増えても収益が伸び悩むのか
興味深いのは、ストリーミングの収入の伸びが6%と大きく上回ったのに、「ARPU」(1ユーザーあたりの平均売上高)が押し下げられているという点です。これはどういうことかというと、サブスクに入ってる人の数自体は増えてるんだけど、一人一人の売上高は減ってる。その理由は、新しい国々がこのサービスに参入してきているからなんです。
今、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国地域がこういうデジタルサービスをどんどん始めているんですよ。昔は日本やアメリカ、ヨーロッパだけがこういうサービスを活用していたわけですが、今は新興国もデジタル音楽配信を利用するようになって、新しい市場が開拓されているわけです。そういう意味では、世界レベルでのサブスク市場はまだまだ伸び盛りなんですね。
日本なんかはもう結構頭打ちになってるような印象がありますけど、世界全体で見るとまだまだ成長が続いています。そうなってくると、やっぱり海外向けの音楽発信というのも考えていく必要があるのかもしれません。前にEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)が伸びていくという話もありましたが、世界市場を見据えた音楽展開が重要になってくるんでしょうね。
サブスクサービスの差別化と今後の展望
実は音楽配信サービスって、何で聴いてもあんまり変わらないんですよね。「Apple Musicで聴くと曲の続きが聴けるよ」とか、「Spotifyは音が悪い」とか、そういう決定的な違いはないんです。基本的にどのプラットフォームでも、同じデジタルデータを配信してるから聴ける音楽は同じなんですよね。
だから、ユーザー獲得の鍵となるのは使いやすさや独自機能なんです。例えばSpotifyはリコメンド機能がすごく発展していて、「この音楽が好きな人はこんな音楽も好きかも」というアルゴリズムがよくできている。それにPodcastも充実していて、音楽以外のコンテンツも楽しめるという強みがあります。特にアメリカではPodcast文化が発達してるので、そこを取り込めるのは大きいですよね。
YouTubeのいいところは、YouTubeに投稿された大量の音楽データを活用できる点です。この強みを生かせているから伸びているんでしょうね。一方でApple MusicやAmazon Musicが巻き返すには、それぞれの強みを生かした独自性が必要かもしれません。例えばAmazonは通常のAmazonサービスと連携させた「Amazon Music」らしさを出すとか、Apple MusicはiPhoneなどのデバイスと絡めたApple独自の音楽体験を提供するとか。
LINE MUSICも「泡」も同じで、それぞれが独自性を出していくことで競争が活性化し、ユーザーにとって使いやすい音楽サービスが増えていくんじゃないかなと思います。
今は誰でも音楽を配信できる時代なので、「いつかはメジャーデビューしたい」という昔のような憧れは薄れています。音楽制作者としては、「Spotifyで配信したい」という特別なプライオリティもないんですよね。どこでも配信できるから、チェックは全部つけて配信するという感じです。そういう意味では、サブスク側がどういう音楽体験を提供できるかが重要になってきていると言えるでしょう。
世界の音楽サブスク市場は、まだまだ発展途上。これからどんな変化が起きるのか、注目していきたいですね。