これはニュース読み配信の文字起こしをブログ化したものです。
時間ロスと事故リスク
渋滞は私たちの生活に大きな影響を与えています。年間で約40時間、つまり日本時間にして丸2日弱もの時間が渋滞によって失われています。これは非常にもったいない時間です。さらに渋滞中は事故のリスクが通常の7倍にも上昇するという厳しい現実があります。特にゴールデンウィークなどの連休では、家族で長距離移動する際に一人のドライバーが7〜8時間も運転することも珍しくありません。朝早い3時や4時から出発して大阪や盛岡、青森などへ向かうケースでは、慣れない長時間運転による疲労が蓄積し、事故の可能性が高まります。このような状況を避けるために、事前に混雑情報を調べて電車を利用するという選択肢もありますが、駅自体が混雑するという別の問題も存在します。
渋滞緩和のカギ:車間距離の確保
渋滞を少しでも減らすために、専門家は「ブレーキのバトンを渡さないこと」が重要だと指摘しています。車間距離が狭い状態で走行していると、先頭の車が渋滞を想定して停止した場合、次々と後続車もブレーキを踏んで停止することになります。これが「ブレーキのバトン」と呼ばれる現象です。一方で、意識的に車間距離を確保して走行しているケースでは、車間が広がった車でブレーキのパターンが止まり、後続車は減速するものの完全に停止することなく走行を続けることができます。結果として、車間距離を確保する方が通過できる車の台数が増え、交通の流れが良くなります。焦って前の車にぴったりつけようとする行動が、逆に渋滞を悪化させ、事故のリスクも高めているのです。車間距離を空ければ交通事故も起きにくくなるため、「詰めるから渋滞するし、詰めるから事故る」という悪循環を断ち切ることが大切です。
効率的な車線選択と未来の解決策
渋滞時に最も早く進む車線はどこでしょうか。多くのドライバーは右側の車線を選びがちですが、研究によると左側が時速25km、真ん中が20km、右側が16kmと、左側の車線が最も速いという結果が出ています。「急がば回れ」の言葉通り、左側を走る方が効率的に流れるのです。このように、渋滞を悪化させる典型的な行動である「車間距離を詰める」と「右側に移動する」という二つの行動を避けることが重要です。しかし、これは人間の心理として難しい面もあります。解決策として期待されているのが自動運転の普及です。全ての車が自動運転になれば、適切な速度と車間距離が保たれ、渋滞が大幅に減少する可能性があります。時速100kmの制限なら全ての車が正確に100kmで走行し、安全な車間距離を均等に保つことで渋滞が解消されるという考えがあります。ただし、一部でも手動運転の車が混在すれば効果は限定的になるでしょう。エスカレーターの実験のように、全員が同じ行動をとることで最も効率が上がる例もあります。最終的には、他の車が割り込んできた時に「うざい」と感じない心の持ち方も大切かもしれません。