これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです。
Chapter 1: 消えゆく半額弁当と値引きタイムの変化
食料品の値上げが続く中、仕事帰りにスーパーの値引きタイムを狙う消費者は多く、惣菜を週2回以上利用する人は約47%に上ります。特に都市部では調理不要で片付けも簡単な惣菜は、共働き世帯や単身者にとって欠かせない存在です。
しかし、おなじみの半額弁当が売り場から姿を消しつつあります。スーパー側は値引きタイムの混乱を抑えるため、様々な対策を講じてきました。ステルス値引きや段階的値引き(10%、20%、30%と徐々に値引き)なども試されましたが、根本的な解決には至りませんでした。現在では5%刻みという細かい値引きを導入する店舗も現れています。
Chapter 2: AI導入による売り切れ戦略の成功
スーパーが導入した解決策は「AI」でした。過去の販売データ、天気、曜日、地域イベントなどを分析し、商品の仕入れ数を最適化するシステムです。
イオンではAI導入により売れ残りを10%から2%に激減させることに成功しました。その結果、夕方の惣菜コーナーから半額シールが減り、刺身や精肉も1割から3割引きが主流となり、半額はほとんど見られなくなりました。
スーパーにとって売り切れは悪とされてきましたが、AIにより適正な商品数を予測できるようになったことで、無駄な在庫を抱えることなく、利益率の向上とフードロス削減を同時に実現できるようになったのです。
Chapter 3: ビッグデータ活用の背景と社会的意義
この変化の背景には、AI以前から蓄積されてきたビッグデータの存在があります。2000年代から行われてきたデータ収集により、どの地域で何が売れるか、天候や季節による購買パターンなど、膨大な情報が蓄積されてきました。
Tポイント(現Vポイント)や楽天ポイントなども、実はこうしたデータ収集の一環として機能しています。コンビニやスーパーでは、これらのデータから「今日この店で何が売れるか」を予測し、仕入れに活用してきました。
AIはこのビッグデータ解析を飛躍的に高精度化させた技術と言えます。半額弁当の消失は消費者には残念かもしれませんが、フードロス削減と企業の健全な利益確保という観点では、より持続可能な社会システムへの進化と捉えることができるでしょう。