AI検索が引き起こすWeb広告ビジネスの崩壊


これはスタエフの文字起こしをブログ化したものです

オンライン百科事典「Wikipedia」のアクセス数が、AIの台頭により、前年同期比で8%減少した、というニュースがありました。これは、単にWikipediaだけの問題ではなく、インターネット全体のビジネスモデルが、大きな転換点を迎えていることを示唆しています。

AIが「代わりに」調べてくれる時代

なぜ、Wikipediaのアクセスが減ったのか。その理由は、言うまでもなく「AI検索」の普及です。

かつて、私たちは何かを調べる際、Googleなどで検索し、Wikipediaをはじめとする様々なウェブサイトを訪れていました。しかし、今はどうでしょう。AIに「〇〇について、分かりやすく教えて」と聞くだけで、AIが私たちに代わって複数のウェブサイトを調べ、その内容を要約して提示してくれます。

これは、ユーザーにとっては非常に便利なことです。間違った情報にアクセスするリスクも減ります。しかし、その一方で、ウェブサイトの運営者にとっては、死活問題となり得ます。

Web広告ビジネスの崩壊

ウェブサイトの運営者の多くは、サイトに表示される広告からの収入で生計を立てています。しかし、AI検索が主流になれば、ユーザーは個別のウェブサイトを訪れることがなくなり、広告がクリックされる機会も激減します。つまり、Web広告というビジネスモデルそのものが、成り立たなくなるのです。

Googleの自己変革と、Webサイトの新しい役割

この変化に対し、Web広告で巨大な帝国を築き上げたGoogle自身が、誰よりも早く、AI検索の開発に舵を切っているのは、非常に興味深いことです。彼らは、自らの収益源を断ってでも、新しい時代のビジネスモデルへ移行しようとしている。この自己変革能力こそが、Googleの真の強さなのでしょう。

これからのウェブサイトに求められるのは、人間が読むためのデザインや、広告を配置する工夫ではありません。いかに「AIに正しく、最新の情報を学習してもらうか」という、全く新しい役割です。

限界に来ていた、現在のWeb広告

正直なところ、僕は現在のWeb広告のあり方に、以前から疑問を感じていました。記事を読むのを邪魔するほど大量に表示されたり、消し方が分からなかったり。ユーザー体験を損なってまで表示される広告は、もはや限界に来ていたのではないでしょうか。

Wikipediaは、広告収入に頼らない運営モデルなので、今回のアクセス減も乗り越えられるかもしれません。しかし、多くの個人ブログやニュースサイトは、大きなビジネスモデルの転換を迫られることになるでしょう。

AI検索の普及は、私たちが30年かけて築き上げてきた、インターネットの景色を、根底から変えようとしています。その変化の先に、どんな新しい世界が待っているのか。固唾を飲んで見守りたいと思います。